20年後の存続をかけた「DX生存戦略」
――まず、御社の事業内容と中西様の役割について教えてください。
中西様: 私たちは香川県東かがわ市で、フィルムの製造メーカーとして現在43期目を迎えております。食品、メディカル、電子産業など幅広い分野のパッケージ用フィルムを開発・製造しています。現在の売上は約85億円で、一番大きな事業が食品、次にメディカル、電子産業という構成です。
私は経営企画室の室長として、新規事業の立ち上げや、各部門を横断する戦略立案を担当しています。元々は営業出身で、入社して18年目になります。
――地域特有の「人口減少」という課題が、DXのきっかけだったのでしょうか?
中西様: はい。四国は全国平均よりも早く過疎化が進んでいます。私たちの拠点がある東かがわ市も、今後20年で人口がさらに4割減ると予測されています。
働き手がいなくなる未来が見えている中で、採用は極めて厳しい状況です。特に製造業なので、工場で働く方の採用が中心なのですが、地元の高校を卒業してすぐ就職する方がほとんどいなくなっています。限られた人材を地域の企業同士で奪い合っているのが現状です。
――社内の高齢化も進んでいるとお聞きしました。
中西様:平均年齢は約48〜49歳ですが、一部の部署では平均60歳のセクションもあります。今後10年で社員の約3割が定年を迎える見込みです。
人が採用できない、かつベテランが去っていく。この現実を前提とすると、DXによる効率化を進めなければ、この地でビジネスを続けることは不可能だと考えました。「10年、20年先の四国化工がなくなってしまう」という強い焦りがありました。
――そこで、パートナー探しのためにレディクルに相談されたのですね。
中西様: きっかけは、当時の営業部長が展示会でレディクルのコンシェルジュである藤田さんとお会いしたことでした。最初は外注先の相談から始まりましたが、次第に「採用難を解決したい」「AIで省人化できないか」という本質的な課題を相談するようになりました。
藤田: 最初はブランディングや制作のご相談でしたが、定期的にお話を伺う中で、深刻な人手不足への危機感を感じました。そこで、単なるシステム開発ではなく、伴走しながらDXコンサルティングができる企業としてマクニカ様をご紹介しました。
製造業の痛みを理解する「伴走力」が最大の決め手
――複数社の中からマクニカ様を選ばれた理由を教えてください。
中西様:製造業の課題は、現場の製造プロセスを深く理解してもらわなければ、なかなか伝わりにくいものです。
今回レディクルにご紹介いただいた3社の中でも、マクニカの村澤さんは一回目の面談から私たちの課題を完璧に理解されていました。あまりの的中ぶりに「そう、その通りです」と、こちらから説明することがなくなるほどでした。
私が仕事で最も大切にしているのは、「その人を信じられるか」「同じ価値観で仕事ができるか」という点です。社外パートナーとの間に価値観のズレがあると、連携がうまくいかず、プロジェクトが失速してしまいます。担当が村澤さんでなければ、別の企業を選んでいたかもしれない。それほど、彼との出会いは決定的でした。
――発注先を決めるうえで、コスト面での懸念はありませんでしたか?
中西様: 正直に言えば、大手企業であるマクニカ様への依頼は、コストも高くなるだろうと予想していました。
しかし、私たちにとって最優先事項は「やりたいことが実現できるかどうか」です。単なる安さではなく、20年先を見据えた変革を託せるか。その点において迷いはありませんでした。
――村澤様から見て、初回の商談はどのような印象でしたか?
村澤様:中西さんとの出会いは私にとっても強烈な印象でしたね。これほど自社の未来を真剣に考え、行動されている方がいる一方で、なぜこれほど多くの課題が山積しているのか、という「もどかしさ」を強く感じたんです。的確に課題を捉えられていて、「この方と仕事がしたい」と最初に思いました。
生成AI研修から始まった、全社的なDX推進
――具体的に、どのようなプロジェクトから着手されたのですか?
中西様:まずは、抱えていた課題をすべて村澤さんに打ち明けるところから始めました。そこで最初にお願いしたのが、管理職以上を対象とした「生成AI研修」です。
社内にIT・AIの知識を持つ人材がほとんどおらず、リテラシーが非常に低い状態だったので、まず「AIで何ができるのか」を理解してもらう必要があったのです。
村澤様: 2024年6月の初回商談から2ヶ月後の8月には、すでに研修を実施していました。その後、ロードマップ作成支援、環境調査のAI活用検討、業務可視化コンサルティングと進み、現在は新規事業の構想に至るまで、約1年半で多角的なプロジェクトを一緒に進めてきました。
――研修後の社内の反応はいかがでしたか?
中西様: 想像以上に大きな反響がありました。当初は管理職向けでしたが、興味を持つ一般社員も多かったため、オンラインで全社に開放したんです。
事後アンケートでは、「もっと深く知りたい」「業務にどう活かせるか教えてほしい」といった前向きな声が次々と上がりました。現在では若手社員を中心に、メール作成などの日常業務での活用が広がっています。
――具体的にどのような活用事例がありますか?
中西様:現在は役員から部長クラスまで全員が「Google Workspace」を活用しています。特に「Gemini」や「NotebookLM」の活用が進んでおり、月次報告をNotebookLMに集約することで、過去からの流れを俯瞰して分析できるようになりました。
単月ごとの数字を見るだけでなく、長期スパンでの検証や他部署の課題把握も容易になっています。
実は今日の午前中も、社長室でGoogle Workspaceのレクチャーをしていたんですよ(笑)。社長自ら「これは便利だ」と楽しみながら活用していました。
「紙だらけ」の現状を直視し、業務の本質を問い直す
――他にはどのようなプロジェクトが進行していますか?
中西様: 現在は「業務プロセスの可視化」に注力しています。DXを推進するにあたり、そもそも自分たちの業務が可視化できておらず、さらにそれが本当に必要な業務かもわからない状態であることが課題でした。
そこでマクニカ様に伴走していただき、現状(As-Is)とあるべき姿(To-Be)を共に描きながら、業務を可視化する具体的なノウハウをコンサルティングしていただきました。
――実際に可視化してみて、どのような発見がありましたか?
中西様: 長年「ペーパーレス化」を掲げてはいましたが、実態を調べると、ほとんどの業務が「今までそうだったから」「紙の方が慣れていてやりやすいから」という理由で紙を使っていました。
しかし、一つひとつの業務に対して「本当に紙である必要があるのか」を問い直してみると、実は大半の業務がデジタルに置き換え可能であることが分かったのです。
ただ、頭では理解できても、実際にどう整理し改善していくかは、やはりマクニカ様ならではの専門的なノウハウだと感じます。レクチャーを担当してくださる方は全員がプロフェッショナル。私たちが「こうではないか」と意見を出しても、さらにその上のレベルへと導いてくれる提案力があります。
――村澤様から見て、このプロジェクトの工夫点は?
村澤様:毎週のヒアリングを徹底し、マクニカが持つ「型」を示しながら進めていきました。製造業の知見を持っているので、理解が早かったこともあります。ただ、このプロジェクトで重要だったのは、私たち外部の人間が手を動かすことではなく、四国化工の皆様自身が手を動かす時間を長く設けることでした。
私たちのゴールは「可視化すること」そのものではなく、四国化工様に「可視化のノウハウ」を習得していただくこと。ここまで真摯に取り組んでくださる企業様は珍しいです。中西様たちが本気で向き合ってくださるからこそ、私たちもプロとして最大限の熱量で応えることができました。
――すでに現場での変革は始まっているのですか?
中西様: はい。製造現場では、すでに紙のチェックシートをGoogleフォームに置き換え始めています。タブレットで入力すればデータが自動で集計される仕組みが整い、活用の幅が広がっています。
「DXを進めるんだ」という意識が社内に浸透すれば、社員が自ら改善点を見つけ、自律的に走り出します。2026年度中には、製造現場のあらゆる業務プロセスのデジタル化を完了させる計画です。
「香川の中小企業」から「世界のリーディングカンパニー」へ
――現在進行中の「新規事業構想」についてお聞かせください。
中西様: これまでの取り組みの集大成として、現在は新規事業のコンサルティングを受けています。
これまでは、私たちが持つフィルム製造の知見や技術、販売情報が十分にデータ化されていませんでした。そこをマクニカ様からご指摘いただき、それらの貴重な資産を集約・活用できる体制を構築しようとしています。
私たちのゴールは非常に壮大で、「グローバルな梱包・包装業界のリーディングカンパニー」になることを掲げています。「香川県の中小企業」という枠を超え、世界中の誰もが知っている企業へと成長した。その目標から逆算して、今、一歩目を踏み出したところです。
――データドリブンな経営への転換を、確信されているのですね。
中西様: その通りです。受注情報から製造工程、契約データに至るまで、あらゆる情報をデジタル化することで、DXが円滑に回る大きな絵を描いています。
来期にはECやEDI(電子データ交換)といった受注方法の導入も検討しています。インプットの段階からデジタル化しなければ、その後の工程を最適化することはできません。お客様にもご協力いただきながら、サプライチェーン全体のデジタル化を進めていきたいと考えています。
検索では辿り着けない「真のパートナー」を見つける力
――どのような企業にレディクルの活用をおすすめしますか?
中西様:「会社を動かしたい」「新しいことに挑戦したい」と願いながらも、社内にリソースがなくて足踏みしているリーダーの方々におすすめしたいです。
外部のリソースに頼る際、最も高いハードルは「信頼できる相手かどうか」を見極めることです。その点、レディクルは私たちの思いを汲み取った上で、信頼に足る企業を繋いでくれます。
また、多忙な中でパートナー企業をゼロから調査するのは非常に時間がかかります。そのリサーチを丸投げできて、しかも無料というのは、正直信じられないほど手厚いサービスだと感じています。
――「自分で探すこと」とレディクルの紹介では、何が違うのでしょうか?
中西様: 自力で調べてコンタクトを取っても、こちらの熱量や課題感と、相手の得意分野が食い違うことがほとんどです。マッチングの確率が非常に低い。しかし、レディクルから紹介される企業には、必ず私たちが求めている要素が含まれています。
例えば、マクニカさんについても、自力で調べていたら絶対にたどり着かなかったはずです。マクニカさんは、一般的には半導体商社としてのイメージが強く、AIの事業をやっているという認知がありませんでしたから。そうした「隠れた最適解」を提案してくれるのが、レディクルのすごさですね。
村澤様: その通りです。私たちも組織が大きい分、メインビジネスである半導体の印象が強すぎて、AI事業の認知度が低いという課題があります。そこをレディクルが「四国化工様の課題ならマクニカだ」と繋いでくださった。この橋渡しは、私たちにとっても非常にありがたいものでした。
――コンシェルジュの存在も、プロジェクトの支えになりましたか?
中西様: 藤田さんは、いつも本当に楽しそうに話を聞いてくれます。私が理解しきれていない技術的な話も、細かく噛み砕いて教えてくださいました。親身になって聞いてくれるからこそ、こちらも「もっと詳しく相談しよう」という前向きな気持ちになれるんです。
藤田: それは、中西様がレディクルを信頼して、本音を打ち明けてくださったからです。定期的にご連絡させていただく中で、「今はこういうのが流行っていますよ」と最新トレンドをお伝えすると、中西様はいつも「それがどう自社の課題を解決できるか」とリンクさせて考えられているんです。私自身も中西様から勉強させていただいています。
3社それぞれの視点で語る「出会い」の価値
――今回の出会いによって、どのような変化がありましたか?
中西様: これほど高い精度で、求めていた企業に出会えるとは思っていませんでした。今では「困ったことがあれば、まずは藤田さんに連絡しよう」と決めています。レディクルを使いこなせること自体が、私自身の「仕事のスキル」の一部になっています。
最近では、DXプロジェクトのメンバーにも藤田さんの名刺を渡しました。私だけでなく社員一人ひとりが、レディクルを通じて外部の知見を取り入れられるようになれば、さらなる相乗効果が生まれると確信しています。
――パートナーであるマクニカ様側には、どのようなメリットがありましたか?
村澤様: 最大のメリットは、お客様の課題感が明確になった状態で商談が始まることです。通常の営業活動では「初期商談」から始まりますが、レディクル経由の場合は、初回から具体的な提案の話ができます。
また、ベンダーと顧客という二者間では聞きにくいセンシティブな本音を、コンシェルジュが第三者の視点で拾い上げてくれます。そのフィードバックがあるおかげで、より精度の高い提案へと改善できる。この仕組みは非常に画期的だと感じました。
藤田: 中西様との何気ない会話の中から「AI」というキーワードを見つけ、マクニカ様をご紹介できたことが、これほどの成果に繋がったことを心から嬉しく思います。
一過性の紹介で終わらず、四国化工様の未来を共に創るお手伝いができたことは、コンシェルジュ冥利に尽きます。
「隠れる経営」から、若者に選ばれる「開かれた企業」へ
――最後に、今後の展望とレディクルへの期待をお聞かせください。
中西様: 今までは発注側としてレディクルを利用していましたが、今後は受注(ベンダー)側としても活用させていただければと考えています。
DXを通じて立ち上げた新しいビジネスを世に広める際、最適なお客様とのマッチングもご相談できるのではないかと期待しています。
私たちは点滴の輸液バッグ用フィルムなど、必要不可欠でありながら目には見えにくいBtoB製品を主力としています。これまでは工場間輸送や業務用フィルムなどが中心だったため、「四国化工」という名前が表に出ることはほとんどありませんでした。
――今後は、認知度の向上も重要なテーマになるのですね。
中西様: ニッチな業界で戦っている四国化工では「なるべく隠れろ、競合に見つかるな」という考え方が主流でした。目立つとすぐに製品と設備を真似されてしまうからです。しかし、今は時代が変わりました。
どんなに優れた技術があっても、認知されなければ若い世代に興味を持ってもらえず、採用難を突破できません。これからは、自分たちの価値を正しく発信し、若い人たちに「この会社で働きたい」と思ってもらえる企業を目指します。
次世代を担う方々のパワーを会社に注ぎ込み、地域社会に密着した企業として貢献し続けたい。今回の取材のような機会も、その大きな一歩になると感じています。
藤田: 中西様のように、常に変化を恐れず、地域のために何ができるかを考え続ける企業様をサポートできることは、私たちにとっても大きな誇りです。
最初は一つの課題解決から始まった関係が、今では全社的なDX、そして新規事業の構想へと広がりました。人口減少という厳しい環境下において、地域のインフラとして必要とされ続ける四国化工様の挑戦を、私たちはこれからも全力で伴走させていただきます。






