顧客エンゲージメントを高める方法とは?戦略や事例をご紹介
2024.12.13
顧客ニーズの多様化が進む中で、マーケティング戦略において顧客エンゲージメントの向上を目指すことが重要になりつつあります。しかし、「顧客エンゲージメントはどのようにして高められるのか分からない」といった悩みをお持ちの方も多いでしょう。
そこで本記事では、顧客エンゲージメントの概要や重視すべき理由などの基本的な情報とともに、エンゲージメント獲得に必要な施策や評価指標、また解決するべき課題をご紹介します。顧客エンゲージメントに関する情報を詳しく知りたい企業担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事のポイント
1.顧客エンゲージメント獲得に必要な4つの施策
2.顧客エンゲージメント向上に成功した事例
3.顧客エンゲージメントを向上させるためにやるべき課題
顧客エンゲージメントとは「企業と顧客との間に生まれる信頼関係や絆」を意味します。製品やサービス、ブランドに対する顧客の信頼がマーケティングにおける顧客エンゲージメントを表します。
エンゲージメントが高い顧客は積極的に自社へのロイヤリティを高めていく傾向にあり、SNSでの口コミ投稿やリピート購入などの行動をとってくれます。結果として、企業に対して高く信頼を持つロイヤルカスタマーとなりやすく、安定した収益を生む重要な顧客となる可能性が高いです。
顧客エンゲージメントを強化することによって、顧客満足度の向上や顧客離れの防止に繋がり、ブランドの価値向上やマーケティング費用の削減といった長期的なメリットを得ることが可能です。
メルマガの急増による開封率の低下
近年、メルマガの開封率は減少している傾向にあります。従来は顧客ごとに適切な情報を提供できるメルマガを配信することによって比較的容易に顧客エンゲージメントを向上させることができました。しかし、メルマガでマーケティングを行う企業が急増したことで、開封されないまま埋もれてしまうことも多いです。
顧客の受け取る情報量が増え、競争は激化しています。メルマガの他にもSNSやWebサイトなど、あらゆる接点において顧客体験を高め、エンゲージメントを深める取り組みが重要になっています。
新たなビジネスモデルの出現
インターネットの普及に伴い、SaaSやサブスクリプションなど新たなビジネスモデルが増加しています。これらのビジネスモデルは、単発の販売ではなく、長期的な関係を基盤に収益を確保できる仕組みです。
そのため、SaaSを含む長期利用が前提のビジネスモデルでは、顧客との長期的な関係構築に繋がる顧客エンゲージメントがより一層重要視されています。
購買行動の変化
SNSやインターネットが普及する中で、特に10代~30代のデジタルネイティブ世代に当たる顧客は、製品やサービスに関する情報が与えられるのを待つのではなく、自ら積極的に情報を収集して他社と比較する傾向にあります。
そのため、顧客が自社のサービスやブランドに愛着や親近感を持ってもらい、選ばれるためには、エンゲージメントの向上が重要とされています。
製品やサービスの成長につながる
顧客エンゲージメントが形成できれば、顧客による継続的な購買が期待でき、顧客のLTV(顧客生涯価値)を高められます。結果として、自社製品やサービスの売上を安定させることが可能です。
また、エンゲージメントが高い顧客からは、製品やサービスの改善点や新たなニーズをフィードバックしてもらえます。顧客の要望に沿った改善や開発が可能となり、製品やサービスの成長に繋がります。
新規顧客が増える
エンゲージメントが高い顧客は、自社製品やサービスを他者へ伝えたり、SNSや口コミサイトで好意的な情報発信を行ったりする傾向にあります。
既存顧客によるポジティブな口コミは、企業が行う広告以上に信頼性が高く、新規顧客に製品やサービスに関するプラスの印象を与えることが可能です。したがって、顧客エンゲージメントが高まれば、宣伝広告コストを抑えつつ、新規顧客の獲得が見込めます。
継続利用につながる
エンゲージメントの高い顧客は、自社製品やサービスに対して強い愛着や親近感を感じているため、一般的な顧客に比べてリピート率が高く、中長期的な継続利用が見込めます。
また、既存顧客の維持は新規顧客の獲得よりも広告費などの顧客獲得コストが低い傾向にあるため、顧客エンゲージメントの強化はコスト面でも大きなメリットがあります。
したがって、顧客エンゲージメントの向上は中長期的にコストを抑えつつ企業の収益基盤を安定させ、持続的な成長に繋げる上で重要です。
1.Amazon「購入・閲覧履歴の分析で顧客の興味に合った製品を提案」
Amazonでは、独自開発の機械学習アルゴリズムにより顧客の購入・閲覧履歴を分析し、興味関心にあった製品をおすすめ製品として提案することで、顧客エンゲージメントの獲得に成功しています。
他にも、会員特典や個別のカスタマーサポートといった限定的なサービスを用意し、顧客との信頼構築を心掛けることで、顧客エンゲージメントの向上に繋げています。
2.スターバックス「顧客の好みに合わせたサービスが話題!」
スターバックスでは、公式アプリにおいて顧客の購入履歴を記録し、AI(人工知能)が顧客の好みに合わせておすすめ商品やクーポンを提案する仕組みを提供しています。
また、InstagramなどのSNSでよく投稿されているドリンクカップのメッセージも、スターバックスならではの人気サービスです。
このように、スターバックスではパーソナライズなサービスを提供し、顧客体験を向上させることによって、顧客エンゲージメントの向上に成功しています。
顧客エンゲージメントを評価する際には、以下3つの指標を用いて、企業やブランドに対する顧客の関与度や満足度や信頼度を測定します。
種類
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特徴
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NPS(ネットプロモータースコア)
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・顧客ロイヤルティを計測するための調査手法
・ある製品(サービス / ブランド / 企業)について家族や友人にすすめたい度合いを、0~10の11段階で回答してもらい、結果を分析
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リピート率
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・初回購入をした顧客が、どの程度リピートしているのかを調査する指標
・「1年間のリピート購入者数÷1年前までの購入経験者数×100」で計算
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解約率
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・一定の期間内に契約を解約した顧客の割合を指す指標
・サブスクリプションのような継続的な契約の顧客エンゲージメントを測る際に有効
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上記の指標を用いることによって、顧客エンゲージメントを多角的に評価し、エンゲージメントの深さや改善ポイントを具体的に把握することが可能です。
1.ステップメール
顧客エンゲージメントを向上させるために、ステップメールが有効です。ステップメールとは、顧客一人ひとりのニーズや行動に応じたメッセージを段階的に送信する施策です。
例えば、バースデーメールの送信や購入製品に合わせた関連製品の案内メールを送ることで、顧客の満足度を高め、追加購入を促進できます。このように、顧客の行動や興味・関心に合わせてメール内容を変更することで、顧客が「自分に対するコンテンツを制作している」と特別感を感じられ、エンゲージメントの向上に直結します。
2.意見の収集と反映
顧客エンゲージメントを高めるには、問い合わせフォームやアンケートなどで顧客の意見を収集し、製品やサービスの改善に反映させることも重要です。
顧客からすると「自分の意見が反映されている」と実感できるため、承認欲求を満たされ、エンゲージメントがさらに高まります。
また、顧客の意見をもとに改善した際には、ニュースリリースやSNSを通じて変更内容や改善点を顧客に報告することがポイントです。意見の収集から反映、報告のサイクルにより、双方向のコミュニケーションが可能となり、長期的な関係性構築に繋がります。
3.クーポンなどの特典
期間や顧客の行動に応じてクーポンやポイントなどの特典を提供することも、顧客エンゲージメントを高める施策の一つです。
特に、一定の金額以上の購入者に割引クーポンの発行や一定期間サービスを利用している顧客に特典ポイントを付与するなど、顧客の貢献度に応じて特典を用意することで、製品やサービスの利用価値を高められます。
製品購入やサービス利用を通じて、顧客が経済的な利益を得られる仕組みにより、顧客のリピート意欲の向上に繋げられます。
4.顧客エンゲージメントの数値化と評価
顧客エンゲージメントの成果を把握し、効果的な施策を続けるためには、エンゲージメントを数値化し、客観的評価を行うことが重要です。
具体的には、SFA(営業支援システム)やMA(マーケティングオートメーション)などの顧客分析に役立つツールを使用して、メールの開封率や購入回数などを数値化し、総合的に評価します。
顧客データに基づき戦略的な施策を実行することによって、顧客エンゲージメントをより強化できます。
顧客エンゲージメントが高いペルソナを定義する必要がある
顧客エンゲージメントを向上させる上では、対象となる顧客の理解を深めるために、人物像(=ペルソナ)を明確にすることが重要です。ペルソナを定義するためには、以下のような顧客に関する情報を整理し、多角的に分析する必要があります。
・デモグラフィック(年齢や性別などの人口統計など)
・ジオグラフィック(居住エリアや文化背景など)
・サイコグラフィック(価値観やライフスタイルなど)
特に、既存の顧客数が多い場合には、上記のデータをベースにした顧客分析が必要です。
また、企業SNSを運営している場合には、ユーザーからの「いいね」やリプライなど反応も併せて参考にし、エンゲージメントが高いペルソナの傾向を細かく分析します。
3C分析を利用し、競合と自社の現状を把握して優位性を確保する必要がある
顧客エンゲージメントを向上させるためには、自社の優位性を確立することが重要です。そのためには、環境分析用のフレームワークである3C分析(Customer:顧客・Competitor:競合・Company:自社)を活用し、以下を主軸に競合と自社の現状を把握します。
・性能や品質
・価格
・カスタマーサポート
・ブランドの信頼性や評判
・製品やサービスのユーザーエクスペリエンス
・技術力
・付加価値サービスやオプション
上記の多角的な視点で現状を分析することで、競合がある中で顧客に選ばれる理由が明確になり、他社との差別化がしやすくなります。
ただし、差別化を重視しすぎると、顧客のニーズから逸脱してしまう可能性があるため、顧客ニーズに応じた優位性を意識するように注意が必要です。
一貫したブランディングを定義する
顧客エンゲージメントを高めるには、企業として一貫したブランディングを定義する必要があります。企業として「やること」と「やらないこと」を明確に定義し、一貫した施策を心掛けることで、顧客エンゲージメントの形成が可能です。
例えば、老舗和菓子屋の「虎屋」は、「贅沢な日にぴったりな高級な和菓子を作る会社」というブランドイメージを徹底しています。このイメージに基づき、一般的な和菓子よりも高価格帯の製品を提供し、主に百貨店や高級な商業施設に店舗を構えることで、ブランドの格調と品格を保っています。
このように、一貫性のあるメッセージと価値観を持つことで、ブランドへの共感や信頼が向上し、長期的に高いエンゲージメントを維持することが可能です。
定期的に施策のPDCAを回さなければならない
顧客エンゲージメントを向上させる施策は、一度実行すれば完了するものではありません。自社のお問い合わせフォームやSNS、口コミサイトなどから顧客の行動データや生の声を収集し、定期的に施策のPDCAサイクルを回す必要があります。PDCAを繰り返すことで、顧客のニーズや行動変化に対応した施策の実行が可能となり、顧客エンゲージメントの維持に繋がります。
ただし、常に最適な施策を実行し続けるには、タイムリーな対応が必要です。新しい施策を実行するごとに、顧客とのコミュニケーションや施策改善、顧客からのフィードバックの監視などが必要となり、自社の人件費・人材リソースへ負担が大きくかかります。
顧客エンゲージメントを獲得するためには、顧客エンゲージメントの数値化をはじめ、顧客接点の創出や意見収集・分析など、さまざまな施策に取り組む必要があります。また、定期的に施策に対するPDCAを回す必要もあり、自社負担の増大が課題になります。
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