リピーターの増加を見込めるから
顧客満足度を向上させることができれば、リピーターの増加が期待できます。新規顧客を獲得する際には広告やプロモーションに多大な費用がかかるため、新規顧客獲得に必要なコストはリピーター獲得の5倍かかるといわれています。
したがって、新規顧客の獲得に比べ、リピーター獲得にかかるコストのほうが低いため、顧客満足度の向上を目指すことで経営的に大きなメリットを得ることが可能です。
2024.12.23
顧客満足度の向上は、企業が長期的に成長を続ける上で欠かせません。しかし、手探り状態で取り組んでいる方も多いでしょう。そこで本記事では、顧客満足度を向上させるための具体策や指標、調査方法についてご紹介します。
また、満足度の向上に成功した実際の企業事例も解説するため、顧客満足度の向上に悩みを抱える企業担当者はぜひ最後までご覧ください。
この記事のポイント
1.顧客満足度を向上させる具体策と取り組み
2.顧客満足度の指標と測定方法
3.顧客満足度の向上に成功した事例
顧客満足度(CS)とは、企業が提供する製品やサービス、総合的なカスタマーエクスペリエンスが、顧客の期待に対してどの程度応えられているかを測る指標です。英語では「Customer Satisfaction(カスタマーサティスファクション)」と表現されることから、その略語である「CS」が日本でも浸透しています。
顧客満足度はブランドやサービスの価値を高め、競争力を強化する上で重要な指標とされています。
顧客満足度の向上によって、ブランディングを強化でき、顧客獲得がスムーズになります。ここでは、顧客満足度が重要な理由とメリットについてご紹介します。
顧客満足度を向上させることができれば、リピーターの増加が期待できます。新規顧客を獲得する際には広告やプロモーションに多大な費用がかかるため、新規顧客獲得に必要なコストはリピーター獲得の5倍かかるといわれています。
したがって、新規顧客の獲得に比べ、リピーター獲得にかかるコストのほうが低いため、顧客満足度の向上を目指すことで経営的に大きなメリットを得ることが可能です。
顧客満足度が向上すると、意図していなかったところで自社商品やサービスに対する良い宣伝が増加します。例えば、満足度の高い顧客がSNSや口コミサイトなどで、自発的に商品やサービスのポジティブな口コミを拡散してくれることも珍しくありません。
顧客の高評価な口コミやレビューが増えることによって、社会的信用と認知度の向上に繋がります。
満足度の高い顧客による紹介や口コミは、新規顧客の獲得に繋がります。近年は特にSNSの影響力が強く、SNSの口コミで顧客の多くから高評価を得ることができれば、従来型の広告媒体経由よりも多くの新規顧客を獲得可能です。
したがって、顧客満足度の向上は効率的に新規顧客を獲得する手段としても重要性が高まっています。
製品やサービスに関するポジティブな口コミが広まり、新規顧客やリピーターが増えれば、大規模な広告を出さなくても顧客を獲得できるため、広告費の節約が可能です。
節約できたコスト分は、製品開発やサービス改善に再投資することによって、製品の質や顧客体験を向上できます。したがって、顧客満足度向上に伴う宣伝広告費のコストダウンにより、さらに顧客満足度が向上するといった好循環が期待できます。
ここでは、顧客満足度の調査方法についてご紹介します。いくつか調査方法を組み合わせることによって、より深く顧客を理解でき、顧客満足度向上のための具体的な施策考案に繋げられます。
インターネット調査とは、Webサイト・オンラインショップの流入状況や検索キーワードを分析する方法です。この調査では、「自社製品やサービスに興味を持っている顧客はどのような顧客なのか」「どの製品により高い関心を示しているか」を把握できます。
そのため、満足度の高いターゲットを予測する際や、満足度向上に繋がる顧客ニーズを可視化する際に役立ちます。
ヒアリング調査とは、顧客に直接質問する調査方法です。対面・電話・メール・オンラインアンケートなどさまざまな手段で調査します。ヒアリング調査の方法の大きなメリットは、口コミやレビューでは得られない貴重な意見を聞けることです。
顧客がリアルに感じている不満や疑問など、製品やサービスの質向上に繋がる潜在ニーズを把握できます。
アンケート調査とは、お客様満足度アンケートやご来場者様アンケートなどを通じて、より具体的に顧客満足度に関する調査ができる方法です。顧客の商品に対する事前期待を色濃く反映できる点が特徴です。
アンケート票を作成する際には、「目的を明確にすること」「回答数が多くなりすぎないこと」「答えにくい質問を作らないこと」「匿名で回答できるよう留意すること」の4つのポイントを意識することによって、回答負担が軽減され、回答率が向上します。
統計データの収集と分析は、間接的に自社の顧客層の満足度を把握できる方法です。例えば、調査会社や行政機関が公表している統計データを活用すれば、自社製品やサービスに対する顧客の事前期待を読み取れます。また、市場規模の推移や各商品の支出を時系列で追うことによって、購買行動と満足度の相関関係を長期的な視点で分析できます。
顧客満足度の指標と測定方法は、以下のとおりです。
指標名 |
特徴 |
適した調査手法 |
NPS |
・顧客ロイヤリティを測定する指標 ・顧客を推奨者や批判者などに分類し、推奨者割合から批判者割合を引いた数値で算出 |
・アンケート調査 ・インターネット調査 |
CSI |
・顧客の期待値と実際の満足度のギャップを測定 ・期待値や知覚品質など5つを質問し、平均値を算出 |
・アンケート調査 ・ヒアリング調査 |
JCSI |
・日本市場向けにカスタマイズされたCSI ・期待値や不満度などの6つの要素を測定 |
・アンケート調査 ・インターネット調査 ・ヒアリング調査 |
オリコン顧客満足度 |
・業界特有の満足度因子を測定 ・同業他社との比較が容易であり、一般消費者向けランキングにも使用される |
・アンケート調査 ・インターネット調査 |
ここでは、それぞれの指標について詳しくご紹介します。
NPSとは、商品やブランドへの愛情や信頼の濃さ(=顧客ロイヤリティ)を数値化する指標です。NPSでは、顧客を以下3つのカテゴリに分類します。
・推奨者(9点〜10点):商品やサービスに対して強い愛情や信頼を持つ顧客
・中立者(7点〜8点):特に推奨も批判もしない顧客
・批判者(0点〜6点):商品やサービスに不満を持つ顧客
NPSは、回答者全体の推奨者割合(推奨者数/全回答者数)から、批判者割合(批判者数/全回答者数)を引くことで求められます。数値が高いほど顧客のロイヤリティが高いことを示し、低い場合は不満を持つ顧客の割合が高く、改善余地があることを意味します。
CSIとは、顧客の購入前の期待値と購入後に感じた価値の差を測る顧客満足度調査の指標です。具体的には、以下5つの要素を顧客へ質問し、平均値を算出します。
1.顧客期待値:購入前に顧客が抱いた期待
2.顧客不満度:商品やサービスに対する不満
3.顧客忠実度:ブランドや商品に対するリピート意向
4.知覚品質:商品やサービスに対する顧客の主観的な品質評価
5.知覚値:商品やサービスの価格に対する満足度
CSIは顧客の期待と現実のギャップを数値化できるため、満足度向上に向けた具体的な改善ポイントを見つける際に役立ちます。
JCSIは、CSI(Customer Satisfaction Index)を日本市場向けにカスタマイズした日本版の顧客満足度調査の指標です。JCSIでは、以下の6つの項目について顧客へ質問し、調査します。
1.顧客期待値:購入前に抱いた期待
2.顧客不満度:商品やサービスに対する不満
3.顧客忠実度:リピート購入や継続利用の意向
4.知覚品質:商品やサービスの品質に対する主観的評価
5.知覚値:価格に対する満足度
6.推奨意向:他者に推奨する可能性
購入後の顧客が感じた価値から、購入前の期待値を差し引くことで求めることが可能です。JCSIは、顧客満足度の具体的な状況を把握する際に役立ちます。
オリコン顧客満足度は、調査会社オリコンが実施している「オリコン顧客満足度ランキング」で利用されている満足度指標です。
業界特有の満足度因子を測定でき、同業他社との比較を容易にできる点が特徴です。例えば、保険業界の因子には保険料や加入・更新手続き、英会話スクールには適切なレッスン料や入会手続き・特典が含まれ、業界の実態に即した満足度を把握できます。
また、オリコン顧客満足度は一般消費者からの認知度が高く、ランキングで上位に入ることでブランドイメージの向上にも繋がります。
企業の中には、顧客満足度ツールの導入や社内制度の改善により、顧客満足度の向上に成功している企業も見られます。ここでは、顧客満足度の向上に成功した事例についてご紹介します。
株式会社NTT ExCパートナー(旧:NTTラーニングシステムズ株式会社)では、営業案件の情報共有が不十分であったため、営業担当者によって対応に差が生じ、顧客満足度が低下していました。そこで、CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)を搭載する営業支援システムの導入により、営業案件に関する情報の共有と可視化に成功しました。結果、担当者による対応のバラつきを解消し顧客満足度が向上しました。
GMOメイクショップ株式会社では、案件管理のExcelファイルが複数存在していたことで、案件内容の確認業務が複雑化していました。営業支援システムによって業務報告がタイムラインに上がるようになり、即座に確認・指示出しが可能となりました。また、顧客情報が一元管理されたことでことで、顧客対応のクオリティとスピードが向上し、顧客満足度の向上につながりました。
住友林業ホームサービスでは、顧客満足度と密接に関わる従業員満足度の向上を重視し、フレックス制度の採用や評価制度の変更などを積極的に実施しました。福利厚生の見直しにより、従業員の能力や満足度を高めることで、顧客へのきめ細やかなサービス提供に繋がり、顧客満足度の向上に成功しています。
ここでは、顧客満足度を向上させる取り組みについてご紹介します。より確実に成功させるには、複数の施策を取り入れることが重要です。
顧客満足度を向上させるには、まず顧客のニーズを可視化する必要があります。そのためには、顧客満足度調査を実施し、得られたデータを徹底的に分析することが必要です。
顧客のニーズを知るために使う顧客満足度調査には、ヒアリング調査やアンケート調査など多様な方法があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。例えば、アンケート調査は顧客満足度に関する詳細な意見を収集できますが、設問設計には時間と手間がかかります。
そのため、顧客満足度を効果的に高めるためには、自社の目的や顧客層に合った調査方法を選ぶことが重要です。
顧客満足度を向上させるためには、自社が提供するサービスや商品のコンセプトを明確化することが重要です。具体的には、設定したターゲットに対して、どのような価値をどのように提供するかを明確にする必要があります。
例えば、高級志向の顧客をターゲットとする場合は品質や体験を重視、コストパフォーマンスを重視する顧客層には、価格面での優位性や手軽さを訴求するコンセプトを設定します。
コンセプトが明確になれば、企画や開発の方向性が定まりやすくなるため、顧客ニーズにマッチする製品・サービスの提供が可能となり、顧客満足度の向上が可能です。
顧客満足度を高めるには、表層機能で他社との差別化を目指すことがポイントです。表層機能とは、商品やサービスをより魅力的にする付加価値を指します。サービスの得られる最低水準の便益である本質機能とは異なるものであり、両方が揃うことによって他社に勝てるようなパワーを発揮します。
例えば、ITベンダーを通じてITツールを導入する際に、併せてIT導入補助金の申請の相談に対応するといったように、充実した本質機能と他社では対応不可能な自社独自の付加価値サービスを提供します。
表層機能の差別化により、顧客に対して他社では得られない特別感や満足感の提供が可能となり、競争優位性を確立できます。
顧客満足度の向上には、従業員満足度(ES)の向上が大きく関係する場合もあります。従業員満足度とは、職場環境や福利厚生などにおいて従業員がどの程度満足しているかを示す指標です。
実際に、顧客満足を実現している企業や組織では、従業員満足を実現しているところも少なくありません。
従業員が適材適所で働き、労働に見合った報酬を得られるようになると、働く上でのモチベーションが向上し、提供する商品やサービスの質向上に繋がり、結果として顧客満足度の上昇に繋がります。
特に、カスタマーサポートや接客業など従業員と顧客が直接接点を持つ機会が多い業種においては、従業員満足度の上昇により顧客満足度の大幅な向上が期待できます。
顧客満足度を向上させる上で、企業側の努力によって改善できるのが業務オペレーションです。それぞれの製品やサービスに合ったオペレーションにすることによって、顧客の期待を満たせるサービスを提供できます。
また、顧客が求めている価値と求めていない価値を見極め、求められていない価値提供に関する業務を簡略化することによって、従業員の負荷軽減も可能です。
例えば、マクドナルドなどのファストフード店では「商品提供の速さ」が求められる傾向にあるため、セルフオーダーレジの導入により、調理オペレーションにより多くの人材配置が可能な仕組みを構築しています。これにより、迅速な商品提供が可能となり、顧客ニーズに応えつつ、従業員の接客オペレーションの負担軽減にも成功しています。
マクドナルドの例のように、適切なオペレーション設計によって、顧客満足度と従業員満足度の向上が可能です。
顧客満足度向上のために、業務オペレーションの改善や差別化できる表層機能を企画するためには、PDCAを回せるような環境が必要です。
そのため、CRMやSFAのような、顧客満足度の管理や効果測定を効率的に行えるツールの導入がおすすめです。これらのツールには、顧客データの一元管理や顧客行動の分析、満足度調査の結果を可視化する機能が備わっており、施策の効果を効率良く把握できます。
適切なツールの導入により、顧客の声をより的確に反映したサービス・製品の提供が可能となります。
顧客満足度を向上させるには、満足度調査のほかに、製品やサービスのコンセプトの明確化や、表層機能の部分で他社との差別化を図ることも重要です。
特に、顧客満足度調査は定期的な測定と分析が必要となり、自社への負担が大きくなる傾向にあります。
また、顧客満足度を向上させるにあたって「自社で検討している施策や調査方法、導入ツールが合っているのか」「自社に合った最適な顧客満足度の上げ方は何か」など不明確なことが多く、お悩みの方もいらっしゃるかと思います。
そのような時は「Ready Crew(レディクル)」がおすすめです。Ready Crew(レディクル)では、漠然とした課題ベースから相談でき、自社に合った適切な会社を見つけられます。無料で相談が可能であるため、まずはお気軽にお問い合わせください。
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