ー今年2月に企画された、アパレルブランド「FREAK’S STORE」と「instax“チェキ”」とのコラボキャンペーン。このキャンペーンサイトの制作において「レディクル」をご利用いただきました。まずは、このキャンペーンの趣旨を教えていただけますでしょうか。
簗瀬様:新型コロナウィルス感染症対策として、「FREAK’S STORE」では、全店舗でショップスタッフのマスクを着用しています。
ただ、本来は、人と人とのつながりを大切にする接客が「FREAK’S STORE」の魅力。スタッフも人懐っこく、お客様とすぐに親しくなれるタイプが多いんです。マスクは感染予防のために着用しなければならないですが、一方でマスク着用によって顔が見えず、スタッフの魅力が伝わりづらいのではないかというジレンマを抱えていました。
そんな課題から「スタッフの笑顔をチェキで撮影して、ネームプレートにしたらどうか」というアイデアが生まれたのです。私たちなりの方法で、マスクで隠れてしまっているスタッフの笑顔や個性を、お客様にお伝えしていこうと。
当初はネームプレートだけの予定だったのですが、富士フイルムさんとのコラボが決まり、バレンタインシーズンに合わせてinstax“チェキ”を使用した「試着キャンペーン」と「相性診断キャンペーン」も実施しようという話になりました。
ー想定よりも、どんどんキャンペーン内容が拡大していったのですね?
簗瀬様:そうなんです。もともとは、キャンペーンサイト自体もつくる予定はなく…。ネームプレートとムービーを用意して、プレスリリースだけを配信する計画でした。
キャンペーン内容が拡大していくなかで、「やはりキャンペーンサイトが必要だ」ということになって。このキャンペーンが始まる、1.5週間前の話です(笑)。
ー大急ぎでキャンペーンサイトの制作に入る必要がありますね。
簗瀬様:急ピッチでキャンペーンサイトを制作しなければならず、当初はいつもお願いしている制作会社さんに無理なお願いと承知しながらも問い合わせました。でも、それらの会社にはすでに別のプロジェクトをお願いしていた経緯があり、納期が短すぎて引き受けられないと断られてしまったんです。
無理なお願いで断られることが当然とは理解しながらも、正直にいって久しぶりに困りました。納期も予算も限られているなかで、どうやってキャンペーンサイトをつくろうかと。
そんなとき、ふと思い出したんです。2年前くらいに、レディクルの立川さんにお電話をいただいたことを。あのとき、たしか複数社、制作会社をご紹介いただいたなと。
当時は、タイミングが合わずに発注には至らなかったのですが、「FREAK’S STORE」の世界観に合う、ユニークなデザイン会社さんと引き合わせていただいていたんです。
急いでメールをさかのぼって、2年前にご紹介いただいた会社のなかから、今回のキャンペーンサイトに合いそうな「テクイジデザイン」さんにコンタクトをとりました。
お電話で概要をお話したら、こちらの意向をスピーディに汲みとってくださって、ポンポンと話がまとまった。その電話で即、契約を決めました。
ー立川さんは2年前に、どのような基準でご紹介する企業を選定されたか、覚えていらっしゃいますか。
立川:はい、当時のことは、よく覚えています。初めて簗瀬様にご提案したときは、なにか特定の案件があるわけではなく、「常に発注先の制作会社を探しているので提案してください」というお話でした。
潜在的なニーズにお応えするために幅広くいろいろな角度で、ご紹介先を選定させていただいたと記憶しています。
私自身、デイトナ・インターナショナル様の「熱狂的に生きて世界中を幸せにします」というビジョンが、すごく印象的で。このインパクトを体現できるデザイン会社さんや、「FREAK’S STORE」さんのイメージに合う制作会社さん、加えて少し意外性のあるアートを得意とする会社さんなどをピックアップしました。
簗瀬様:2年前に立川さんが行った、マッチング先の要件定義が正確だったからこそ、今回、これだけ短い時間でキャンペーンサイトを発注する企業を決定できたのだと思います。
実は当時、ご紹介いただいたすべての企業と会いました。いずれも、「ぜひ機会があったらお仕事をご一緒したい」と思える会社でした。
2年前に「テクイジデザイン」さんと顔合わせした際も、とても話がもりあがったんです。「こういうことを一緒にできそうですね」といろいろなアイデアを出し合った。そのときも会話のキャッチボールが心地よく、スムーズでした。
アパレル企業の場合、ブランドの世界観や、“おしゃれ”のちょっとしたニュアンスが合っていないと、怖くてサイト制作を任せられません。センスのチューニングが非常に重要なんです。ただ、センスは言語化しづらく、共有するのが難しい。そんな言葉にできない部分まで、立川さんは汲みとって、制作会社をアサインしてくださいました。
今回は「テクイジデザイン」さんに依頼しましたが、立川さんにご紹介いただいたのはいずれも、当社が魅力を感じる企業ばかり。
「この会社さんと音楽フェスのブースをつくったら面白いだろうな」「この方と動画制作をご一緒したい」というように、どんどんアイデアがわきました。それが、潜在的なニーズを引き出してもらった、ということなのかもしれません。
ーできあがったキャンペーンサイトをご覧になって、率直にどう思われましたか。
簗瀬様:本当に、感動しました。この一言に尽きます。
私自身、こんなに短い期間でキャンペーンサイトを立ち上げたことはなく、やはり一抹の不安がありました。「テクイジデザイン」さんとは1時間ほどリモートで打ち合わせをして、企画概要をお伝えしていたものの、イメージの共有は手書きの簡単なラフのみ。当然、伝えきれていないこともたくさんありました。
また、今回のキャンペーンサイトの制作は難易度が高かったはずです。
先にできあがっていた店頭POPのデザインを生かしながら、キャンペーンの詳細を伝え、ムービーも入れなければならない。かつ、コロナ禍のなか「笑顔に、着替えよう」というメッセージにはセンシティブな要素もあります。
極めて短い納品までの期間で満たさなければならない条件が多いにもかかわらず、うまくデザインをチューニングし、すばらしい仕上がりで納品いただきました。
ー社内外からの評判は、いかがでしたか
簗瀬様:完成度が高いデザインで、非常に好評でした。「FREAK’S STORE」のショップスタッフはもちろん、コラボ先である富士フイルムのご担当者様が気に入ってくださったことも、嬉しかったですね。
定量的な成果も出ています。当社の他キャンペーンサイトと比較して、「PVは約2倍」「プレスリリースからの転載数は約1.7倍」でした。キャンペーンサイトのデザインを使ってプレスリリースを作成したため見栄えがよく、さまざまなメディアでご紹介いただけました。露出面での効果も大きかったです。
持ってビジネスに伴走してくれる希少な存在
ー簗瀬様にとって「レディクル」はどんな存在でしょうか。
簗瀬様:「レディクル」というよりも、私のなかでは「立川さん」の印象が強いんです。
潜在的なニーズを汲みとったうえで、実際に紹介というアクションにつなげられる希少な方です。
マッチングや紹介のサービスは世の中に数多くありますが、登録してもリアクションがなかったり、ご紹介いただいてもこちらのニーズと合っていなかったりするものが案外多い。
その点、立川さんはとても精度の高いマッチングをしてくださった。その実績を信頼しています。ニーズの汲み取り力、そして課題抽出力が高い方だと感じました。
実は、はじめてお電話で話したときは「結構、突っ込んだ質問するな」と思ったんです。「えっ、そんなことまで聞くの?」と。ただ、ヒアリングの際に、顕在化していないニーズまで引き出してもらえたことが、今回のキャンペーンサイトの成功に繋がりました。
ー立川さんは、簗瀬様とのコミュニケーションで心がけていることはありますか。
立川:簗瀬様は、いろいろな情報をすでにお持ちなので、レディクルのコンシェルジュとしてどんな提案ができるだろうと模索しています。
さきほど、突っ込んで聞きすぎと指摘されてしまいましたが…(笑)。なにかお役に立てることはないか、知りたいといつも思っています。ただ、お忙しい業務の邪魔にならないようにヒアリングはお電話で、発注先のご紹介はメールで、と分けるようにしています。
簗瀬様:業務が立てこんで、返信できないこともありますが、いただいたメールはちゃんと見ていますよ。ご紹介いただいた会社さんとは、ほぼ面談もしています。
ー「レディクル」を他の企業におすすめいただくとしたら、どのような企業に合うと思われますか。
簗瀬様:当社のように“スピード感”に重きをおいている会社にも向いているのではないでしょうか。我々は少人数の体制で、複数のプロジェクトの仕掛けと実施を、常に走りながらやっています。そこにレディクルさんのコンシェルジュも、臨機応変に、スピード感を持って伴走してくださる。
アパレル業界では、トレンドとのスピード勝負。「タイミングを逃したから、来年にやろう」が通用しない世界です。スピードこそが最大の資産。アパレル企業でレディクルさんを利用するイメージは、あまりないのかもしれませんが、同業にもおすすめしたいです。
ー最後に、今後の事業展開や「レディクル」の活用方法について検討されていることがありましたら、教えてください。
簗瀬様:「FREAK’S STORE」を開業して今年で35年。これからが第二創業期だと捉えています。ファッションの枠におさまらず、ライフスタイルのプロデュース企業としてさらに新しい価値を生み出していきたい。今後は、異業種とのアライアンスや、意外な企業・サービスとのコラボレーションも、より積極的に仕掛けていく計画です。
レディクルさんには、今回のようにスピード勝負の案件で、またご相談させていただくこともあるでしょうし、「Webサイトの制作」だけではなく、「コンセプトやブランディングそのものを一緒につくっていくパートナー」や「ブランドを深く知ったうえでコンセプトワークやコピーライティングをしてくれるようなパートナー」もぜひご紹介いただきたいと考えています。
「この企業とコラボレーションしたら面白そうじゃないですか?」というアイデアも大歓迎です。レディクルさんの提案から、新たなビジネスが動きだすかもしれません。そのヒントをいただけることを、私も楽しみにしています。
(撮影/矢野 拓実 取材・文/猪俣 奈央子 編集/株式会社才流 中島 孝輔)