「森を作りながら経済を回す」—アグロフォレストリーという理念
――まず、フルッタフルッタの事業内容と野呂様の役割について教えてください。
野呂様: フルッタフルッタは、アサイーを始めとしたアマゾンフルーツの輸入・販売および加工商品の販売を主軸としています。私は管理部・総務部として、経理・財務をメインに、IR、法務、労務、人事、ITシステムまで、バックオフィス全般を統括しています。
当社の事業の根幹にあるのは「アグロフォレストリー」という農法です。「アグロフォレストリー」は1970年代中期につくられた造語で、「農業」のアグリカルチャーと「林業」のフォレストリーが合成されています。
――具体的にどのような仕組みなのでしょうか?
野呂様: 日本語では、農林複合経営、混農林業、森林農業ともいわれ、複数の農産物や樹木を混植することにより、単一栽培に比べて生態系が多様な農場が構成されます。世界では東南アジア、中南米、アフリカなどで様々な事例がありますが、中でも近年特にブラジル・トメアスのCAMTA(トメアス農業協同組合)が実践するアグロフォレストリーは持続可能な農業として世界から注目されています。
また、樹高の異なる植物が共生することで、自然に近い森が形成されます。環境を保ちつつ経済を回す「自然資本主義」(経済と環境が共存共栄する持続可能な社会)を実現する仕組みです。
――野呂様はそのビジョンに惹かれて入社されたのですね。
野呂様: はい。代表の長澤からこの考えを聞いたとき、「産業資本主義と異なる非常に面白い経済のあり方だ」と思ったんです。入社して3年目になりますが、最近ではお取引先様や証券会社の方からも「ようやく時代が追いつきましたね」と言っていただけるようになりました。
壮大な新規事業構想と、リソース不足という現実
――新規事業「Scope3 NEO」について教えてください。
野呂様: 2023年8月頃に始動したプロジェクトです。これは、サステナブルな農法を実践する生産者とサステナブルな原料を求めるメーカーがマッチングし、Web上で原料の売買を行えるプラットフォームです。
この事業は、企業のScope3(サプライチェーン排出量)において、排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」だけでなく、吸収量が上回る「ネットマイナス」の実現を目指しています。プラットフォームで扱うのは、CO2削減量が排出量と同等、あるいは上回ることを証明できる「真に持続可能な原料」のみなんです。
アグロフォレストリーの場合、植物がCO2を吸収するので、CO2が0からマイナスの方向に進みます。農場内の植物が吸収したCO2量を「削減量」として原料に紐づけることで、原料を購入した企業のCO2排出量の削減を実現できる。つまり、企業は通常のビジネスを続けるだけで、自然環境へ貢献できる仕組みなのです。
――壮大な構想ですが、立ち上げにあたって、どのような課題がありましたか?
野呂様: 一番困ったのは、開発を行うエンジニアもその事業のプランニングを行うブレインも社内にいなかったことです。最初は社長と私の対話の中で「こういうのができないか」という話から始まったのですが、カーボンクレジットやWeb3、ブロックチェーン、NFTと話がどんどん専門的になるにつれ、「自分たちだけでは限界だ」と痛感しました。
――専門家を自力で探すのは困難だったのでしょうか。
野呂様: 非常に困難でした。当時はまだAIでの提案などもなく、Webで検索しても、広告費をかけている会社が上位に表示されるだけ。ホームページの情報だけでは、その会社が「自分たちの案件かのように寄り添ってくれるか」までは判断できません。
私たちが求めていたのは、単なる外注先ではなく、共に汗をかいてくれる「一員」のようなパートナーでした。しかし、果てしなくある企業を一社ずつ当たっていては、いつまでも理想の相手にはたどり着けません。そんな時、レディクルという選択肢が浮上したのです。
プロジェクトを「自分ごと」として捉えるパートナーとの出会い
――レディクルへ相談するにあたって、最初から要件は明確に決まっていたのでしょうか?
野呂様: いえ、最初は「どういう企業が適切か」さえ、ぼんやりとしていました。まずは私たちの事業内容を詳しく説明し、「この構想を叶えるには、どんなパートナーが必要か」という根源的な相談からスタートしました。
――レディクルからはどのような提案がありましたか?
野呂様: 特徴の異なる企業を5社以上紹介いただきました。マーケティングに強い会社や、大規模案件の実績が豊富な会社など。印象的だったのは、単に「大手実績があります」という紹介ではなく、実際のプロジェクトの規模や内容、詳細をもとに「今回の規模や詳細なら、この会社が合うはずです」と明確な根拠を添えてくれた点です。
――数ある候補の中から、選定の決め手となったポイントは?
野呂様: 実は、開発のタイムリミットが迫っていました。2025年11月の「COP30」での発表が必須という状況だったのです。私たちのサプライヤーであるCAMTA(トメアス総合農業協同組合)がいる街で開催される国際会議で、お披露目できないのは絶対に避けたい。かなり焦っていました。
そんな中、最後に出会った1社が「運命のパートナー」でした。大きな実績を上げてきた企業のため、技術力としては非常に高くありましたが、案件を「自分ごと」として捉えて私たちがやりたいことを説明した時に「こういうこともできるんじゃないですか」というアイデアを常にプラスしてくれるようなまさに伴走型の姿勢に惹かれました。
――その1社に決めるまで、かなりスピーディーだったそうですね。
野呂様: 年末まであと2週間というタイミングでしたが、相手先のCOOの方が「時間はいつでも、夜でも調整します」と歩み寄ってくれました。実際に話すと驚くほど盛り上がり、その場で心が決まりました。
他の会社は「開発」と「企画」を分ける提案が多かったのですが、その会社はCOO自らプランニングシートやスケジュールのタームシートを次々に作ってくれて、もう本当に「社内メンバーの一員」として動いてくれたのです。
マネタイズの壁を乗り越え、COP30でのローンチを達成
――開発プロジェクトは順調に進みましたか?
野呂様: いや、たくさん壁はありました(笑)。最大の問題は、ビジネスモデルの「マネタイズ(収益化)」が不完全だったことです。コンセプトは壮大でしたが、それをどう事業として継続させるかのプランに欠けている箇所がありました。
このプラン設計に時間を要し、当初の予定より3ヶ月ほど後ろ倒しで全体のスケジュールを修正しました。
――その苦境を、どのように突破されたのですか?
野呂様: 毎週、時には臨時でミーティングを重ね、本音をぶつけ合いました。パートナー企業はシステム開発の枠を超え、ビジネス設計から一緒に作り上げてくれたのです。
さらにCO2削減量の算出については、専門企業の助言を得ながら「ISO14067」や「GHGプロトコル」といった国際基準に準拠させました。これにより、極めて透明性の高いプラットフォームを構築できたのです。
――野呂様ご自身も、相当な負荷がかかったのではないでしょうか。
野呂様: IT担当、管理部としてのマネタイズ設計、さらに膨大な情報収集。忙しさよりも、未知の領域を考え抜くことが一番大変でしたね。ですが、機能に一定の制限は設けつつも、2025年11月に無事ローンチを達成することができました。
COP30ローンチ後の反響と、黒字化の裏に潜む「新たな課題」
――ローンチ後の反応はいかがでしたか?
野呂様: 投資家からは「将来はカーボンクレジット事業へ展開するのか」と強い関心を寄せられました。また、COP30の開催地であるブラジル現地で紹介できたことで、フルッタフルッタの認知度が飛躍的に向上。「日本にブラジルのフルーツを広めてくれている」という新たな信頼関係の構築にもつながりました。
――大きな成果ですね。しかし、ここでまた別の課題に直面したとか。
野呂様: そうなんです。業績が好転して、ようやく念願の黒字化を達成できたんですが、いざその後の人材配置を考えていった時に、圧倒的に「人のリソース」が足りないことに気づきました。ただ、人事担当の対応にも限りがあるので、面接に割く時間が物理的にないという課題がでてきました(笑)。
わずか3ヶ月で1,900件の応募。人事1名の限界を突破したRPO導入の衝撃
――そこでまたレディクルに相談していただけたんですね。
野呂様: そうです。担当コンシェルジュの岸田さんが定期的に電話をかけてくれる中で「お困りごとないですか」と聞かれた際、「課題しかないんですよね」とこぼしたのがきっかけでした(笑)。成長スピードに対し、社内のリソースがあまりにも不足していたのです。
岸田: 野呂様はいつもお忙しいので、お電話がつながったタイミングで課題を伺えて本当に良かったです。(笑)。
――具体的にどのような要望を出されたのでしょうか?
野呂様: 「面接や書類審査などのスクリーニングを丸ごと任せたい」「コストは人件費1名分程度に抑えたい」と相談しました。そこで提案いただいたのがRPO(採用代行)サービスです。
これが本当にすごかった。9月の稼働からわずか3ヶ月で、1,900件もの応募が集まったのです。
――1,900件!?一般的な採用活動では考えられない数字ですね。
野呂様: はい。通常、求人広告を1本掲載しても、3ヶ月で100〜150人集まれば良い方です。それが1,900人。さらに驚いたのは、その膨大な数の書類選考から一次面接の設定まで、すべてパートナー企業が完遂してくれたことです。
岸田: 求人媒体「doda」のランキングでも、上位に食い込んでいましたよね。
野呂様: そうなんです。dodaに掲載されている約3万7,000社の中で、一時は人気求人ランキングの4位まで上昇しました。
これまでの採用活動では母数確保後の対応数に苦戦していましたが、プロは「マッチする求人の出し方と判断すべき基準の設定方法」を熟知しています。専任ではない私が時間をかけて悩むより、プロに任せる方が確実だと痛感しました。紹介されたパートナー企業は回答も早く、当社のスピード感に完璧にマッチしていました。
どのような企業・担当者におすすめか
――どのような企業や担当者に、レディクルをおすすめしたいですか?
野呂様: 一番おすすめできるのは、「何が課題なのか、自分たちでもまだ分かっていない」という会社ですね。
何かうまくいっていないけれど、原因が特定できない。あるいは、もっと改善できるはずなのに、どうすればいいか分からない。そうした漠然とした不安に対し、レディクルは雑談を交えながら丁寧に紐解いてくれます。
――「対話」の中に価値がある、ということでしょうか。
野呂様: そのとおりです。ヒアリングを通じて、自分たちが自覚していなかった「本当の課題」に気づかされることがあります。
私自身も、採用の課題は感じていましたが、RPOという解決策は頭にありませんでした。レディクルとの対話があったからこそ、最適な選択肢にたどり着けたと思っています。
――すでに、他の方にもレディクルを紹介してくださったと伺いました。
野呂様: はい。前職の上司が「こういう会社ない?」と探していたので、迷わずレディクルを紹介しました。ビジネスにおいて、信頼できる相手からの紹介(リファラル)ほど安心できるものはありません。人の採用と同じで、オープンマーケットから探すよりも、リファラル的に繋がっている方が信頼できると感じています。
今後の展望とレディクルへの期待
――「Scope3 NEO」の今後の展望を教えてください。
野呂様: この事業のコンセプトは、「サステナブルなものはすべてここに集まる」というものです。私たちはアグロフォレストリーという手法でサステナブルな社会を目指していますが、世の中には他にも優れた手法を持つ企業がたくさんあります。
私たちは、一社だけで地球環境にインパクトを与えようとは思っていません。このプラットフォームをきっかけに多くの企業を巻き込み、共通の思想を持って共に歩んでいきたいと考えています。
――非常に長期的な視点での挑戦ですね。
野呂様: 代表の長澤はよく、「今の世代のことだけでなく、7世代、8世代、さらにその先の世代のことを考えて行動すべきだ」と口にします。かなり先を見据えた時代感覚ですが、それこそが企業のあるべき姿であり、フルッタフルッタが目指し実現していく姿そのものだと信じています。
――今後、レディクルに期待することは何でしょうか?
野呂様: レディクルには、パートナー企業紹介という枠を超えた役割を期待しています。例えば、課題発見に特化した「ビジネスカウンセリング」のような機能です。企業が「何に困っているか分からないけれど、とにかく苦しい」という時に、気軽に相談できる「保健室」のような存在になれるポテンシャルがあると思っています。
――「対話」そのものに価値がある、と感じてくださっているのですね。
野呂様: はい。コンシェルジュとの対話を通じて、自分たちでも気づいていなかった潜在的な課題が顕在化される。そこにこそレディクルの真の価値があると感じています。これからも、企業の心に寄り添い、進むべき道を照らしてくれる存在であってほしいですね。
岸田: ありがとうございます。今後も野呂様の課題に深く寄り添い、最適なパートナー企業様をご紹介できるよう尽力いたします。こちらこそ、引き続きよろしくお願いいたします!






