AI-OCRとは?OCRとの違いやおすすめツール、導入のポイントを徹底解説
2025.07.08
AIを活用して精度を向上させた「AI-OCR」は、近年注目されている技術の一つです。特に、請求書や納品書といった帳票類が多い企業の場合、AI-OCRの活用により業務効率を大幅に改善できる可能性があります。
そこでこの記事では、AI-OCRの基本やOCRとの違い、導入のメリット、主要ツールの比較から選び方までを詳しく解説します。業務効率化を目指す企業担当者にとって、必見の情報をお届けするため参考にしてみてください。
AI-OCRの定義と特徴
AI-OCRとは、AI技術を活用したOCRの仕組みやサービス・ツールのことです。OCRは「Optical Character Reader(Recognition)」の略であり、画像データなどのテキスト部分を認識し、文字データとして変換する機能です。
例えば、請求書など帳票の画像データの場合、文字も写真のデータ形式として保存されているためテキスト部分を認識できません。このような紙に記載された文字を活用するためには、一度人間が読み取ってテキストデータに変換しなければならないのです。
そこで、OCRを活用すると写真などの画像データの文字を認識し、デジタルデータとして保存できます。しかし、手書きの文章や数字の場合、OCRが文字を誤変換したり認識できなかったりするケースが少なくありません。
その点において、AI-OCRはAI技術を活用して機械学習をされることで、文字認識の精度を向上させています。また、文字だけでなく帳票のフォーマットを認識して、指定した項目の抽出も可能です。
従来のOCRとの違い
従来のOCRとの主な違いは、AI技術の活用有無です。従来のOCRの場合、単純に画像から文字を読み取るだけであり、既に決められたフォーマットにしか対応できません。
その点、AI-OCRはディープラーニングにより異なるフォーマットや手書きの文字を学習することで、フォーマットが統一されていない書類でも自動的に項目や文字を認識して処理できるようになります。
今までは、OCRが読み込んだものを人間が修正する手間が発生したり、イレギュラーな種類のフォーマットは非対応であったりするため、効率が悪い一面がありました。そこで、AI-OCRを活用することで文字認識の精度が上がり、テキストデータの抽出・入力を自動化できるため、大幅な業務効率化を図れるようになったのです。
汎用型 vs 業務特化型
汎用型AI-OCRが文字認識できるデータの種類は汎用的であり、さまざまな用途に使用できます。そのため、一定の機械学習がこと完了するで、多種多様な業務の効率化を図れるでしょう。
ただし、さまざまなフォーマットに対応するためには、長い学習期間が必要となります。また、満足のいく精度になるまでは抽出精度が低いため、かえって非効率になる場合も考えられるのです。
そして、業務特化型AI-OCRは特定の業務について専門的に機械学習したもので、請求書・納品書・見積書のように特定の帳票類に対応しています。
そのため、対応する業務は限られるものの汎用型より短期間で機械学習できることから、抽出精度を高めやすい点が特徴です。
定型帳票対応 vs 非定型帳票対応
定型帳票対応のAI-OCRは、事前に帳票類のフォーマットを指定・学習させることにより、情報を抽出しやすくなり精度を高めやすいです。しかし、指定外のフォーマットの帳票は非対応であるため、人間の手で処理しなければなりません。
そして、非対応型帳票対応のAI-OCRは、ある程度帳票の種類は限定されるものの、さまざまなフォーマットに対応可能です。
例えば、取引先の企業が多くあり、それぞれがバラバラのフォーマットの請求書・納品書といった帳票類を扱う場合、事前に機械学習を済ますことで対応でき、業務効率を図れます。ただし、この場合も特定の業務・種別の帳票にしか対応できない点がデメリットです。
業務効率化とコスト削減
AI-OCRはOCRよりも文字認識や項目の抽出精度が高いため、今まで人の手で行っていた帳票など書類への転記や修正作業を自動化できます。例えば、転記作業や文字入力の作業が、企業全体として1ヶ月に160時間も発生していた場合、自動化によって一人分の人件費を削減できるでしょう。
手書きの帳票や書類が多い場合はAI-OCRの活用でテキストデータとして保存できるため、ペーパーレス化も推進できるでしょう。紙の書類を保管する手間や管理工数も抑えられることから、ミスやコスト削減にも繋がります。
他にも、RPAなど別の技術と連携することで人の手を介せず、一連の流れを自動化して業務プロセスを大幅に改善できます。
導入時の課題と対策
AI-OCRを活用する際の主なデメリットは、大きな導入コストがかかる点です。もちろん、導入する製品・サービスによって価格や料金形態は異なりますが、初期費用だけでも数十万円から数百万円かかるケースも珍しくありません。
また、AI技術の活用により精度の向上に寄与していますが、100%の精度を実現することは困難です。そのため、重要な書類の場合は人の手によるチェック・修正が必要になり、高いコストで導入しても費用対効果を得られないケースもあります。
他にも、海外製品のAI-OCRは日本語特有の縦書きを認識しにくい傾向にあります。これは、横書きが主流である海外の書類をもとに学習しているためです。AI-OCRを適用している業務の領域で縦書きの書類が多い場合は、導入製品の選定に注意しなければなりません。
株式会社ハイシンクジャパン:OCR COPILOT
株式会社ハイシンクジャパンの「OCR COPILOT」は、活字・手書き文字の認識を得意としています。書類のテキストを読み取るだけでなく、データの仕分けや各種システムとの連携まで自動化できるため、業務効率の向上に貢献するでしょう。さらに、自己学習機能を備えており継続的に活用することで認識精度の向上が見込めます。
会社名
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株式会社ハイシンクジャパン
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サービス名
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OCR COPILOT
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費用
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要問い合わせ
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おすすめポイント
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株式会社アイメソフト・ジャパン:AimeCard
株式会社アイメソフト・ジャパンの「AimeCard」は、さまざまなフォーマットの書類から情報を抽出できるため「万能OCR」と呼ばれています。文字認識の精度も高く、活字・手書きの文字にも対応可能です。
さらに、日本語、英語、ベトナム語に対応し精度は99%以上を達成している点も魅力です。他にも、構造の解析機能も搭載しており図や表・段落なども認識できるため、対応領域が広く活用しやすいでしょう。
会社名
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株式会社アイメソフト・ジャパン
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サービス名
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AimeCard
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費用
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要問い合わせ
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おすすめポイント
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あらゆるフォーマットから情報抽出が可能
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多国語に対する高い精度を達成
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株式会社キャリアサバイバル:かんたんAI-OCR
株式会社キャリアサバイバルが提供している「かんたんAI開発」はOCRにも対応しています。さまざまなフォーマットの文書に対応しており、CSVの出力が可能なことから既存システムとの連携を考えた開発が可能です。
会社名
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株式会社キャリアサバイバル
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サービス名
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かんたんAI開発
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費用
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要問い合わせ
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おすすめポイント
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さまざまな文書に対応
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既存システムとの連携開発が可能
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株式会社イテラソリューションズ:GraphOCR-Auto
株式会社イテラソリューションズの「GraphOCR-Auto」は、グラフ画像を数値化できるWebサービスです。もともとAI技術を活用した画像認識に強みがある企業であり、OCRにおいても高い精度を実現しています。また、高い認識精度から人の手をかけずに、大量の画像や文書などを自動で処理できます。
会社名
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株式会社イテラソリューションズ
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サービス名
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GraphOCR-Auto
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費用
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要問い合わせ
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おすすめポイント
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AIを活かした画像認識が特徴
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画像や文書を自動で処理
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株式会社pluszero:OCR's+
株式会社pluszeroの「OCR's+」は、文書や図面を読み取れる汎用型の高精度OCRです。文書の抽出だけでなく、業務プロセスの自動化・効率化を実現できます。低コストでカスタマイズ性も高いことからさまざまな領域にて活用可能なため、タイムシートの読み取り・設計図面のチェックなどで利用されています。
会社名
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株式会社pluszero
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サービス名
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OCR's+
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費用
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要問い合わせ
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おすすめポイント
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文書・図面を読み取り可能
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低コストでありながら高性能
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株式会社エイコー:RPA&AI-OCRソリューション
株式会社エイコーの「RPA&AI-OCRソリューション」は、RPAとAI-OCRを組み合わせた業務自動化ソリューションで、さまざまな業務プロセスの改善に貢献します。今まで手動で処理していた工程を自動化することで、年間1,000時間の削減を実現した事例もあります。
会社名
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株式会社エイコー
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サービス名
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RPA&AI-OCRソリューション
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費用
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要問い合わせ
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おすすめポイント
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自動化による工数削減に貢献
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選定時のチェックポイント
AI-OCRを活用する際に、最も重要なポイントは文字認識の精度です。導入しても認識精度が低いと修正工数が増えてしまい、かえって業務効率が下がる可能性がゼロではありません。また、重要な書類の場合はAI-OCRの誤認識が大きなトラブルに繋がるケースも考えられるため、安心して導入・活用できるよう事前にデモ版やトライアルなどで精度を確認しましょう。
なお、認識精度を考える際に重要なポイントとして対応フォーマットが挙げられますが、そもそも自社で扱う書類や画像データのフォーマットに対応していなければ活用できません。仮に対応している場合でも、汎用型もしくは業務特化型なのかで文字認識の精度が変わってきます。例えば、手書きの帳票類や非定型書類の扱いが多い場合は、対応有無の確認が必須です。
他にも、より効率化を考える場合は既存の会計システムなどとの連携も確認しましょう。書類の転記作業を自動化できても、システムへデータを移す際に人の手が必要になれば工数がかかるため、スムーズな連携を実現できるよう提供元のサポート体制も同時に確認してください。
AI-OCRなどのシステムはオンプレミス型・クラウド型の2種類の導入形態があり、それによって料金形態が異なります。オンプレミス型は自社にシステムを構築することから初期費用などの導入コストは高額になる、かつ稼働まで時間がかかるものの、使用メンバーが多くなったり活用期間が長くなったりしても総費用は変わりません。
一方で、クラウド型は自社で構築する必要がないことから初期費用を抑えやすく即稼働しやすいものの、サブスクリプション形式で月額費用が発生します。課金形態はシステムによって異なりますが、基本的には使用人数や使用枚数が多くなるほど高額になります。また、毎月・毎年費用が発生するため、長期間使用するとオンプレミス型よりも割高になるケースも珍しくありません。
そして、AI-OCRの活用を考える業務領域に重要書類が含まれる場合、製品のセキュリティ強度も確認する必要があります。特に、クラウド型は自社にシステムを置かず外部との通信によって成立しているため、内容を暗号化するといったセキュリティ対策は必須です。データ漏洩のリスクを抑えるためにも、セキュリティ体制も必ずチェックしましょう。
導入プロセスと注意点
AI-OCR導入は主に次のステップがあり、その際に注意すべきポイントは以下の通りです。
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業務の対象領域を把握する
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業務量・アウトプット先を把握する
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製品・サービスを比較する
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検証する
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導入し本格稼働を開始する
AI-OCRの導入で失敗しないためには、まず製品が読み取る書類などの対象領域の把握が欠かせません。対象領域を決めることで、ある程度の製品が絞られ選定しやすくなります。例えば、特定の領域にしか活用しない場合は、精度が高く人の手による修正が少ない業務特化型がおすすめです。
次に、業務量を把握しましょう。クラウド型のサービスではAI-OCRが読み取る枚数によって料金が変わるため、適正な量を把握しなければ予算オーバーになる可能性があります。また、出力フォーマットなどアウトプット先を把握することで、既存システムとの連携なども検討できるでしょう。
これらの社内状況を把握した後は、それに適した製品・サービスを比較して選定しましょう。製品を絞り込んだら、デモやトライアルで精度など導入後を想定して性能を検証し、問題なければ導入を決めて使用する部署に周知・研修を実施し、本格稼働の準備を進めてください。
AI-OCRに関するよくある質問とその回答をまとめます。
ここでは、AI-OCRに関するよくある質問についてまとめています。疑問点を解消できるよう、チェックしておきましょう。
OCRとAI-OCRの違いは何ですか?
従来のOCRは定型フォーマットの文字認識に特化しており、AI-OCRはAI技術を活用して非定型フォーマットや手書き文字の認識が可能です。
AI-OCRの料金はいくらですか?
製品やサービスによって異なりますが、月額数万円から利用可能なものもあります。詳細は各サービス提供企業にお問い合わせください。
ChatGPTはOCR機能を持っていますか?
ChatGPT自体にはOCR機能はありませんが、OCRツールと連携することで認識されたテキストの処理や分析に活用できます。
AI-OCRの欠点は何ですか?
初期設定や学習データの準備が必要となり、導入初期に手間がかかることがあります。また、完全な精度を保証するものではないため、確認作業が必要です。
AI-OCRとはAIを活用した革新的な技術であり、業務効率化やコスト削減に大きく貢献するツールです。自社に適したAI-OCRを導入することで、業務の生産性向上が期待できるでしょう。
しかし、導入により必ず効率化を図れるものではなく、製品を闇雲に選定するとかえって業務量が多くなり失敗に終わるケースも珍しくありません。そのため、自社の特性を押さえて最適な業者から導入する必要があります。
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