業務を効率化するERPの機能とは?導入方法と注意点について
2021.10.04
ERPは、「Enterprise Resource Planning」の略で、直訳すると「経営資源計画」という意味です。一般的には「統合基幹業務システム」を指します。生産、販売、会計、人事といった企業の基幹となる業務を、統合して一元管理できるシステムです。 今回は、ERPを導入すると、どのようなメリットがあるのか、どのような注意点があるのかについて解説します。
企業がERPシステムを導入する3つの目的
まずは、企業がどのような目的でERPを導入するのか、代表的なものを3つ見てみましょう。
1.社内のデータを一元管理できる
ERPを導入すると、各部門で入力・使用するデータが1ヶ所に集約され、リアルタイムでデータを参照することができます。例をあげると、以下のような業務が可能です。
・在庫や仕掛在庫の金額がB/Sに反映される
・営業で入力した売り上げ見込みの数字がP/Lに即座に反映されることで、資金繰り表の管理が容易になる
ERPの中には、数値だけでなくグラフなどにして可視化できるものもあります。さらに、BI(ビジネス・インテリジェンス)を搭載しているERPであれば、高度な分析が可能であり、より的確な経営判断のサポートになるでしょう。
2.組織全体で業務効率が向上する
ERPでは社内のデータを一括で管理できるため、各部門が同じデータを共有することが可能です。部署間でデータを管理しているとき、更新する際の誤入力や重複が発生するなどの人的ミスが発生する心配もありません。
また、ERPを通して他部署の動向が分かるので、調整や連携も簡単です。商品の売れ行きを元に生産計画を立てたり、部品の在庫から具体的な納期を決めたりすることができます。必要なデータがすぐ揃うので、打ち合わせも短時間で済むでしょう。ERPを上手に活用すれば、企業内の業務を効率化できます。
3.コンプライアンスが強化される
ERPでは、システム管理者が従業員ごとにアクセスの権限を設定できます。データを暗号化できるERPもあり、情報の漏洩を防ぐ上でも有効です。
近年は、すべての企業においてガバナンスが求められています。ガバナンスの目的はコンプライアンス(法令順守)であり、取引先や株主、顧客からの信頼性を高めるためにも不可欠な要素です。ERPの導入によってデータのセキュリティ対策もできるため、コンプライアンスの強化につながります。
【6つの手順】ERPシステムを導入する方法
続いて、ERPを導入するときは、どのような流れで進めれば良いのか、6つの手順を見てみましょう。
1.ERPシステムの製品を決める
ERPは多くのメーカーから提供されており、それぞれに実装されている機能は異なります。自社内のパソコンやサーバーだけで運用する「オンプレミス型」や、インターネット上からアプリやデータを呼び出す「クラウド型」などの違いも重要です。
導入するときは、課題を解決できるのはもちろん、自社の業務に適合しているものを選ぶ必要があります。今後、どのような企業でありたいか明確にした上で、現状における課題を抽出しましょう。
ERPを導入するときは、メーカーに直接依頼するのではなく、導入や運用を専門とした「ベンダー」の協力を仰ぎます。まずは、各ERPの公式サイトを見ながら、自社の目的に合っていそうなものを5つくらいまで絞り込みましょう。その上で、該当のERPを扱っているベンダーにカタログやパンフレット、導入事例などの資料を請求します。
より具体的に知りたいのであれば、ベンダーにプレゼンテーションや提案書の作成を依頼することがおすすめです。不明点をどのように解消してくれるか、ベンダー選びの参考にもなります。
その際には、自社でも提案依頼書(RFP)を用意しなければいけません。提案依頼書には、予算や導入のスケジュール、導入する部署、業務の流れなどを記載します。この時点で細部までを決定する必要はありませんが、全体像や方向性は分かるようにしておきましょう。
2.ベンダーと契約する
導入の目的や自社の業務を理解してくれる、信頼できるベンダーが見つかったら契約を締結します。
ERPの導入に関する契約は、後々のトラブルとならないよう、しっかりと合意形成をすることが必要です。特に納期や報酬など、契約の時点で見通しをつけるのが難しい内容については、十分に話し合った上で双方が納得できるようにしましょう。
また、
導入時だけでなく運用体制についても、しっかり話し合っておくと安心です。例えば、ベンダーが倒産した、ERPのサポートをやめてしまった、自社側でベンダーを変更したくなったなどの懸念があります。
ベンダーとの契約については、以下の記事もご参考ください。
【システム開発】契約の種類と注意すべきポイントを紹介!
3.要件定義を伝える
契約が締結されたら、どのようなERPをどのように導入して運用するか、要件定義を行います。
要件定義では、社内全体の業務フローの確認が重要です。全部門の担当者がベンダー会社に業務上の課題や導入したい機能を伝え、システムの要件を詰めていきます。要件の調整はベンダー会社の手腕が問われる部分でもあるため、会社選びの段階から経験や知識を確認しておくと良いでしょう。
どのERPも、業務のすべてに対応しているわけではありません。対応している業務を「フィット」、そうでない業務を「ギャップ」と分類し、ギャップをどうするか考えます。例えば、ERPに合わせて業務の進め方を変更したり、機能を追加したりするなどです。
4.設計と開発を待つ
続いて、要件定義に基づいてベンダーや提携している開発会社が設計と開発を行います。企業側では業務の見直しを行い、マニュアルを作成しなければいけません。内部統制のためにERPを導入するのであれば、規定の整備も行いましょう。
開発が完了したら、テストで正常に動作するか確認します。最初は機能ごとにテストを行い、ほかの機能と連携させながらデータの流れをチェックし、最後に実際の業務と同じように全体を稼働させながら検証するという流れです。
5.リリースに向けて準備する
テストによって、具体的な導入の目処が立ったら、リリースに向けて本格的な準備を始めなければいけません。まずはシステム管理者がベンダーから指導を受け、実際にERPを操作する従業員を教育します。操作方法はもちろん、運用ルールについての説明も必要です。
ほかにも、ユーザーIDの発行やパスワードの登録、権限の付与、データの移行といった作業を行います。
6.ERPシステムを社内に導入・運用
準備が完了したらERPを本格的に導入・運用します。いきなり全業務の効率化をしようとするのではなく、段階的に導入・運用して問題が無いか様子を見ることをおすすめします。
導入直後はトラブルが発生しやすいため、ベンダーのサポートの元、問題が生じたときにすぐ対応できる体制が必要です。引き続き従業員の教育を行い、不明なところや疑問点を解消し、ERPが定着するよう努めましょう。
ERP導入前に注意すべき点
ERPを導入しても、社内の課題が解決されなかったり定着しなかったりすれば、導入にかかったコストは無駄になってしまいます。失敗を防ぐには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
費用対効果を考える
経営情報の可視化にしても、業務の効率化にしても、課題の解決にしても、最終的なゴールは利益の向上です。導入にあたっては、費用に対して、どれくらいの利益が得られるのか、費用対効果を考えなければいけません。
費用対効果は「利益/費用×100%」で計算できます。数値が大きいほど、費用対効果が高いと言えます。
数値が小さければ、導入する範囲を限定したり、初期費用が少ないクラウド型にしたり、機能の追加を最小限にしたりするなど、費用を抑える方法を検討しましょう。もちろん、教育やサポートなど、ERPが社内に定着するための対策も必要です。
自社に合ったパートナー企業を選ぶ
ERPの導入・運用は、ベンダーの能力によって成果が左右されます。自社の業務に詳しく、要望に応じて最適な提案をしてくれるところが望ましいですが、そのようなベンダーに巡り会うことも決して簡単ではありません。なぜなら、企業を選ぶにも知識や情報が必要だからです。
ReadyCrew(レディクル)では、コンシェルジュが直接訪問してヒアリングを行い、20,000社を超えるパートナー企業の中から、企業の経営課題や業務内容に応じてマッチする会社をご紹介いたします。
あらかじめ、目的に合ったベンダーが絞り込まれているので、大きなミスマッチを防げます。もちろん、どのようなERPを導入すれば良いのか分からないといったご相談も可能です。
ERPの導入でお悩みの際は、ぜひ一度ご相談ください。
ReadyCrew(レディクル)へのお問い合わせはこちらからどうぞ。
まとめ
ERPを導入すると、業務の効率化や課題の解決、的確な経営判断ができるなどのメリットが期待できます。導入するときは、費用対効果を考慮した上で、自社の要望を理解してくれるベンダーを選び、定着に向けて教育・サポートすることが大切です。