CTIシステムの定義と仕組み
CTIシステム(Computer Telephony Integration)は、その名の通り「コンピュータと電話の連携」を実現するシステムです。CTIシステムの導入により、顧客の電話番号に基づいて自動的に情報を呼び出したり、通話内容を記録したりと、電話業務全体のデジタル化・効率化が可能になります。
例えば、顧客からの着信時に過去の対応履歴や顧客データが自動的に画面に表示される「着信ポップアップ」は代表的な機能の一つです。また、CRM(顧客管理システム)との連携によって、顧客ごとの対応状況を一元管理できます。これにより、属人的な対応から脱却して業務の標準化や品質向上が期待できるのです。
特に、近年はクラウド型CTIの登場により、システム導入のハードルも大きく下がってきています。中小企業でも手軽に導入できる環境が整っており、コールセンターをはじめとする幅広い業種で採用が進んでいます。
CTIシステムの主な機能例
CTIシステムは単なる電話の補助ツールではなく、業務全体を効率化する多機能な仕組みです。以下表に代表的な機能をまとめています。
機能名
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内容
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着信ポップアップ
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顧客からの電話を受けた際、自動的に顧客情報が画面に表示される機能
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通話録音・通話履歴の自動記録
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通話内容を録音・記録し、後から聞き返すことができる機能
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CRMとの連携
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SalesforceやHubSpotなどのCRMツールと連携し、電話対応と同時に顧客情報を更新・参照できる機能
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IVR(自動音声応答)
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音声ガイダンスを流し、適切な部署や対応へ振り分ける機能
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業務効率化と応対品質の向上
CTIシステムを導入する最大のメリットは、業務効率の向上と応対品質の改善です。手動により時間と労力がかかっていたものが、CTIの導入によりプロセスが自動化され、無駄な時間を大幅に削減できます。
例えば、着信時に顧客情報が自動で表示され、スムーズな会話が可能になったり、過去の通話履歴をすぐに参照できるため、リピート対応やクレーム処理にも迅速に対応できたりするのです。
さらに、CTIシステムでは通話内容を録音して、品質管理や研修に活用することも可能です。オペレーターごとの応対内容を比較・分析することで、教育やマニュアルの改善にも繋がります。
データ活用によるマーケティング支援
CTIは単なる電話管理システムにとどまらず、企業のマーケティング戦略を支援する強力なツールにもなります。
例えば、CTIとCRMを連携させることで、問い合わせやクレームの傾向を分析できます。これにより、キャンペーンの改善や商品・サービスのブラッシュアップ、カスタマーサクセス施策の立案など、さまざまな意思決定に役立つのです。
また、CTIに蓄積されたデータをBIツールやダッシュボードと連携させることで、部門横断的な情報共有やKPI管理も可能になります。営業部門では「成約に至った顧客の通話内容」、マーケティング部門では「反応の良かったスクリプト」など、全社的なナレッジの蓄積と活用が進みます。
クラウド型とオンプレミス型の違い
CTIシステムは大きく分けて「クラウド型」と「オンプレミス型」の2種類に分類されます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の業務形態や予算に合わせて選ぶことが重要です。
クラウド型はインターネット環境があればすぐに利用できる利便性が強みです。初期費用が安く、月額数千円から利用できるプランも多いため、コストを抑えたい中小企業やスタートアップに適しています。
一方、オンプレミス型は自社内にサーバーを設置するため、セキュリティ要件が厳しい業界や大規模なカスタマイズが必要なケースに適しています。ただし、初期導入コストが高く、インフラ構築や保守に専門的な知識が必要となる点には注意が必要です。
自作のメリット・デメリット
「CTIシステム 自作」という選択肢も一定のニーズがありますが、実際には慎重な検討が求められます。
自作の最大のメリットは、業務に完全にフィットしたカスタマイズが可能なことです。特定の業界やフローに特化した処理を盛り込めるため、汎用システムではカバーしきれないニーズに応えられます。また、ライセンス費用が不要になることもあるため、長期的なコスト削減に繋がる可能性もゼロではありません。
一方で、開発・設計・運用保守に多くのリソースが必要な点はデメリットに挙げられます。特に、通話処理やデータ連携などの高度な機能を一から構築することは技術的ハードルが高く、結果的に外注費や修正コストがかさむケースも少なくありません。加えて、法規制やセキュリティ対応など、最新の要件に常に追随する体制も求められます。
LINEとの連携など拡張性の確認
近年は「CTIシステム LINE」など、電話以外のチャネルとの連携ニーズが高まっています。特に、LINE・チャット・メール・SNSなどを通じたオムニチャネル対応が重要視されるなか、CTIシステムの拡張性は選定時の大きな評価ポイントです。
例えば、顧客が電話をかけてこなくてもLINEを通じて問い合わせが届くケースがあります。こうしたチャネルからの情報も、CTIシステムに統合できれば顧客ごとの一元管理が可能となり、応対の質も格段に向上します。
また、将来的にAIチャットボットや音声認識などの機能拡張を見据える場合は、API公開の有無や他システムとの連携実績を確認しておきましょう。
初期費用・月額費用の目安
クラウド型CTIは導入までのスピードが早く、月額利用料も比較的リーズナブルです。一般的な相場として、初期費用が無料から数十万円程度、月額費用が1人あたり数千円程度となります。
例えば、ズィーバーコミュニケーションズ社が提供するクラウドCTIでは、基本的な着信ポップアップや通話録音機能付きで、1人あたり月額5,000円前後から利用可能です。小規模なコールセンターや顧客対応チームでも導入しやすい価格帯といえます。
そして、オンプレミス型は導入時のハードウェア費用やインフラ構築費が発生するため、初期投資が高額になります。相場は初期費用が数十万円から百数十万円(ライセンス費用込)で、月額費用は基本的にありません。
また、社内に専用のIT管理者を置かなければいけないケースも多いため、運用コストも見込んでおくべきです。中規模もしくは大規模企業、金融や医療などのセキュリティ要件が厳しい業種で採用される傾向にあります。
導入時に注意すべきコスト要因
CTIシステムの導入にはベースとなる費用以外に、以下のような隠れコストが発生することがあります。
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カスタマイズ費用
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サポート・保守費用
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通信インフラ整備費用
業務に合わせた細かな機能追加や他システムとの連携には別途開発費が必要になることがあり、カスタマイズの範囲によっては見積額が大幅に変動するため、要件を明確にしてから相談することが重要です。
導入後のトラブル対応やシステム更新を依頼する場合、サポートプランへの加入が必要です。ベンダーによっては無償サポートが含まれるケースもありますが、24時間対応や専任サポートを希望する場合は、月額1万円以上もの費用がかかることもあります。
特に、オンプレミス型を導入する場合は、社内ネットワークの整備や回線の増強が必要になるケースがあります。電話回線の種類によって費用が変動するため、事前の現状把握は欠かせません。
国内での普及状況と主要ベンダーの傾向
国内におけるCTIシステムの導入は、特にカスタマーサポート部門やインサイドセールスを持つ企業で広がりを見せています。
なかでも、テレワークやハイブリッドワークの普及によって、オンプレミス型よりも柔軟に運用できるクラウド型CTIが注目されています。
そして、日本国内にはさまざまなCTIベンダーが存在しており、代表的な企業と特徴は以下の通りです。
企業名
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特徴
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ズィーバーコミュニケーションズ株式会社
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株式会社ネクステージ
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この他、KDDI・ベルシステム24・インフォコムなどの大手通信やIT企業もCTIソリューションを提供しており、導入規模や業種に応じた選定が可能です。
今後のトレンドと注目の技術進化
CTIシステムの今後について、以下がキーワードとなるでしょう。
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AIとの連携・自動化
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オムニチャネル対応の強化
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セキュリティ強化とクラウドシフトの加速
CTIシステムは単なる「電話のシステム」から、AIとの統合によって業務自動化を支援するツールへと進化しています。具体的には、音声認識技術(Speech to Text)による自動文字起こし、 顧客の感情分析による対応内容の最適化、自動応答による一次対応の省人化などが挙げられるでしょう。
そして、電話だけでなくLINE・チャット・メール・SNSなど、多様なチャネルを統合する「オムニチャネルCTI」も登場しています。
また、個人情報を取り扱う関係から、CTIシステムのセキュリティ要件も年々高まっています。暗号化通信やアクセス制御、さらにはログ管理などを標準で備えるベンダーが増えており、クラウド型でも高セキュリティな運用が可能になっているのです。
よくある導入失敗とその回避策
導入に失敗する大きな要因のひとつが、「どの業務をどのように改善したいのか」という要件が明確でないままシステムを選んでしまうことです。
対策として、導入前に関係部門へ十分なヒアリングを行い、現場の課題と求める改善結果を整理しましょう。
また、高機能だからと導入したものの、操作が複雑すぎて現場で使いこなせないケースは珍しくありません。そのため、実際に利用するスタッフが操作しやすいか、トライアルやデモを活用して事前確認を行いましょう。その際は、UIや操作フローが直感的か否かも重要です。
そして、システムだけ導入しても社内に使い方が浸透しなければ意味がなく、特に電話応対業務が属人化している企業では導入後に混乱が起きやすくなります。
対策としては、操作マニュアルの整備や初期研修や定期的なトレーニングの実施、フィードバックループの設置などが求められます。
これらを通じて、社内での活用定着を図ることが必要です。
発注先選びで重要なこと
まずは、自社と同じような業種・規模の企業への導入実績をチェックしましょう。導入事例が豊富なベンダーは、課題解決のノウハウを持っている可能性が高いです。
また、単なるシステム提供ではなく、「どの機能が適しているか」「どう運用すべきか」といった提案ができるベンダーであれば、導入後の満足度も高まります。
そして、サポート体制の充実度も重要なチェックポイントです。導入前の相談対応や導入後のサポート、障害時の対応スピードなど、サポート体制はベンダーによって大きく異なります。
必要であれば24時間対応の有無や、専任担当者の配置についても確認しておきましょう。
ズィーバーコミュニケーションズ株式会社
ズィーバーコミュニケーションズ株式会社は、クラウド型CTIを主軸とした多機能型システムを提供する企業で、市場で高いシェアを誇っています。実用的な機能をワンパッケージで提供しており、多くの企業が導入効果を実感しています。
企業名
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ズィーバーコミュニケーションズ株式会社
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特徴・強み
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・多機能型のクラウドCTIシステムの提供
・着信ポップアップ、通話録音、CRM連携などの機能が充実
・導入実績も豊富で安定運用が可能
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対象企業規模
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中堅〜大企業
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提供形態
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クラウド型
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サポート体制
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初期導入から運用支援まで対応
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株式会社ネクステージ
株式会社ネクステージは、中小企業の業務プロセスに最適化したCTIソリューションを強みとする企業です。既存システムとの連携やカスタマイズ要望にも柔軟に対応でき、費用対効果の高い導入が可能です。
企業名
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株式会社ネクステージ
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特徴・強み
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・柔軟なカスタマイズ対応が可能なCTIソリューションの提供
・コンサルティングからシステム開発、運用まで一貫支援
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対象企業規模
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中小企業
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提供形態
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オンプレミス/クラウド型
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サポート体制
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コンサル〜導入・保守対応
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Ready Crewの特徴と強み
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項目
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Ready Crew
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一般的なマッチングサービス
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提案内容
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要件に応じた企業を厳選紹介
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一括提案で情報が煩雑になることも
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相談のしやすさ
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企業情報の開示が前提な場合も
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提供企業の質
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公開制で質のばらつきがあることも
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情報収集段階の相談も可能なため、まずは気軽に問い合わせてみてください。
CTIシステムに関して、導入を検討している方々から寄せられる代表的な質問とその回答をまとめます。
CTIシステムとは何ですか?
コンピュータと電話を連携し、業務効率を上げる仕組みです。
CTIシステムの相場はいくら?
月額費用は5,000円〜、初期費用は10万円前後が一般的です。
CTIシステムのおすすめは?
業種や規模により異なります。無料で比較できるサービス利用がおすすめです。
電話のCTI機能とは?
顧客情報のポップアップや通話録音など、電話に機能を追加する仕組みです。
CTIとPBXの違いは?
PBXは電話の内線交換、CTIは電話とPCの統合を担います。
本記事では、CTIシステムの基本から選定ポイント、費用の目安、導入時の注意点などを解説しました。CTIシステムの導入は、単なるIT投資ではなく、顧客満足度と従業員の生産性を両立するための戦略的な一手となります。
自社に合ったシステムを見極めて失敗なく導入するためには、要件定義やサポート体制の確認が非常に重要です。
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