クラウドPBXの基本的な仕組み
クラウドPBXとは、クラウド上に従来のPBX(電話交換機)を設置して使用できるインターネット電話サービスです。社内にPBXを設置する必要がなく、クラウド上のPBXはインターネットを介して利用するため、社内にシステムを構築する必要がありません。
また、インターネットが繋がっていれば全国各地で同一のシステムを利用できたり、スマートフォンから会社の番号で電話できたりします。
2025.07.07
ビジネスで電話を使用する際、必要な機能や人数によってはクラウドPBXの利用がおすすめです。そこで今回は、クラウドPBXの基本的な仕組みや従来のビジネスフォンとの違いをはじめ、導入のメリット・デメリットや料金相場、さらには選定ポイントなどを詳しく解説します。
ここでは、クラウドPBXの概要について解説します。
クラウドPBXとは、クラウド上に従来のPBX(電話交換機)を設置して使用できるインターネット電話サービスです。社内にPBXを設置する必要がなく、クラウド上のPBXはインターネットを介して利用するため、社内にシステムを構築する必要がありません。
また、インターネットが繋がっていれば全国各地で同一のシステムを利用できたり、スマートフォンから会社の番号で電話できたりします。
ビジネスフォンとは企業向けに開発された電話サービスで、個人向けの電話と異なり複数の内線・外線を共有でき、1つの電話回線を複数の電話機で使用可能です。ビジネスフォンは社内にPBXを設置することにより、さまざまなビジネス向けの機能が使えます。
クラウドPBXとビジネスフォンの違いとしてはPBXを設置している場所が挙げられ、クラウドPBXはクラウド上(他社)、ビジネスフォンは自社に構築されています。なお、導入するクラウドPBXの種類によりますが、基本的にビジネスフォンと機能は変わりません。
また、クラウドフォンはインターネットを介して利用する電話サービスで、電話回線が不要なためスマートフォンやイヤホン・マイクがあるPCなどのデバイスがあれば電話として使用できます。場合によってはクラウドフォンをクラウドPBXと呼ぶこともありますが、PBXを使用していないものもあると理解しておきましょう。
ここからは、クラウドPBX導入のメリットを解説します。
クラウドPBXはサービスを提供している事業者がシステムを構築しているため、従来のPBXよりも初期費用を抑えて導入できます。自社内にPBXを導入する場合は、専用機器を購入して知識・技術を持つ担当者がシステムを構築したり、配線を整備したりしなければなりません。
その点、クラウドPBXはシステムを構築する費用や手間を軽減でき、かつ自分たちで管理する必要もないためコストを抑えやすいです。
従来のPBXを使用している場合はユーザーの増減や機能の追加などがあると、その度に大規模なメンテナンスをしなければいけません。その点、クラウドPBXはユーザー数の変更や機能追加のためのプラン変更があれば、インターネットでサービス提供元に申し込むだけで対応可能です。
また、事業規模の拡大など企業の成長や変化に応じて柔軟に対応できる点も、クラウドPBXのメリットといえるでしょう。
クラウドPBXはインターネット環境があれば場所を問わず利用できます。また、提供されているサービスによってはさまざまなデバイスに対応しており、スマートフォンへの導入も可能です。
拠点が複数ある、テレワークを導入しているといった企業であれば、費用を抑えつつ柔軟に対応できるでしょう。
ここからは、クラウドPBX導入のデメリットを解説したうえで、失敗例を紹介します。
クラウドPBXは利用プランの変更やオプションの追加など機能を柔軟に変更できますが、利用するクラウドPBXに備わっていない機能は追加できません。
そのため、導入後に本来必要である機能がないことが判明し、失敗と感じるケースがあります。このような失敗を防ぐためにも、導入前に機能の詳細や利用プランを確認するだけでなく、自社の事業にはどのような機能が必要か整理しておきましょう。
クラウドPBXは初期費用を抑えやすいものの、利用プランやユーザー数によっては割高になる可能性があります。基本的に、クラウドPBXの料金形態はサブスクリプション形式で毎月ランニングコストが発生するため、コールセンターやヘルプデスクなど電話を使用するユーザーが多いと、料金が加算され高額になるのです。
他にも、使用プランに固定で搭載されている機能のうち、使わないものがあればコストパフォーマンスは低下するといえます。
クラウドPBXは通信環境などにより、通話の品質が不安定になったり、低下したりする場合があります。実際に、クラウドPBXの音質はインターネット環境に依存し、使用回線やWi-Fiの電波状況によってはノイズが発生する、あるいは途切れやすくなるのです。
また、自社の通信環境を万全の状態に整備しても、使用するクラウドPBXによって通話品質が低くなることも考えられます。このような失敗を防ぐため、導入前にサービス提供会社の実績や品質を確認しておきましょう。
既に電話サービスを利用しておりクラウドPBXへ切り替える際は、契約期間を確認しましょう。契約期間中に解約すると違約金が発生したり、解約できなかったりするケースがあります。
既存サービスの契約期間中にクラウドPBXを導入すると、無駄な費用が発生する可能性があるため注意してください。
クラウドPBXはインターネット回線を利用しています。そのため、セキュリティ体制が不十分なサービスの場合は自社がサイバー攻撃を受けることで、情報漏洩のリスクがあるのです。
例えば、従業員の個人用スマートフォンにクラウドPBXを導入する場合、セキュリティに穴があれば不正アクセスやマルウェア感染などの原因になります。他にも、サービス提供元がサイバー攻撃を受ければ、自社の情報が漏洩する可能性があるのです。
これらを防ぐためにも、セキュリティ体制が万全か事前に確認する必要があります。
クラウドPBXの種類によっては、今まで使用した電話番号を引き継げなかったり、発信できない番号があったりします。そのため、導入したクラウドPBXによっては既存の電話番号が引き継げず、新しい番号を取得しなければいけないことがあるのです。この場合、自社の電話番号が記載されている箇所を修正しなければなりません。
例えば、自社HPや名刺をはじめとする印刷物の電話番号を修正することになれば、大きな手間とコストが発生するため、事前に電話番号の継続利用可否を確認しておいてください。
クラウドPBXにはさまざまな種類があります。ここからは、クラウドPBXの主な5つのタイプを紹介します。
クラウドPBXはクラウド上に設置されたPBXを使うサービスですが、種類によっては社内にPBXを構築するオンプレミス型もあります。この場合、自社内にPBXの機器やシステムを構築し、そこにさまざまな電話のクラウドサービスを連携させることで、充実した機能を使用可能です。
完全クラウド型は、PBX機能をすべてクラウド上で提供するタイプです。機器の設置が不要で、PCやスマートフォンなどをそのまま使用できるものもあります。
ハイブリッド型は、オンプレミス型とクラウド型を組み合わせたタイプです。例えば、既に電話機などの設備が整っている場合、これらの既存設備を活用しつつクラウドPBXの利便性を取り入れられます。
モバイル特化型は、スマートフォンなどのモバイルデバイスでの利用に特化したクラウドPBXです。既に社用のスマートフォンを利用している場合、モバイル特化型を導入することで既存設備を活用できます。
自社にコールセンターを設置する、あるいは新たにシステムを入れ替える場合は、コールセンターに特化したクラウドPBXの導入がおすすめです。特化型のクラウドPBXは、コールセンター業務に必要な機能であるACDやCTIなどと連携できます。
ACDとは着信呼自動分配装置のことで、入電があった際は事前に設定した条件で自動的に割り振りできます。CTIは電話機とコンピュータを統合するシステムで、着信番号から顧客情報を表示したり通話を録音したりなど、コールセンターに必要な機能を多く搭載している点が特徴です。
自社に適したクラウドPBXを導入するために、いくつかポイントを押さえておきましょう。ここからは、クラウドPBXの選定ポイントを紹介します。
まずは、自社に必要な機能を洗い出しましょう。搭載されている機能が過剰であれば費用が割高になり、不足があれば業務に支障が出る可能性があるため、入念に確認しておいてください。
クラウドPBXのサービスによっては通話品質や安定性が異なるため、無料トライアルやデモなどを活用して導入前に確認しましょう。
通話に問題やトラブルが発生した際に対応できるよう、サービス提供元のサポート体制もよく確認しておいてください。
クラウドPBXを介してサイバー攻撃を受ける可能性を考え、サービスと提供元それぞれのセキュリティ対策を確認しておきましょう。
通話のデータが暗号化されているか、アクセス制限が適応されているかなど、十分な対策が講じられているかを確認します。
クラウドPBXの導入を検討する際は、料金プランの透明性もよく確認する必要があります。例えば、基本料金しか案内されておらず、使用してから追加費用が発生するケースは珍しくありません。
本格的に導入する前に、オプションの有無や追加で発生する可能性があるコストを洗い出しましょう
クラウドPBXの導入・利用で発生するコストを把握するためにも、料金相場を確認しましょう。ここからは、クラウドPBXの料金相場について解説します。
初期費用はクラウドPBXを導入する際に設定する基本的な費用であり、相場は0円から5万円ほどです。例えば、使用する人数が少なく自分たちで設定する場合、初期費用はかからないことがあります。
複雑な設定が必要、あるいは設定人数が非常に多い場合などは、初期費用が高額になる可能性があります。
月額料金はユーザー・回線ごとに基本料金が発生することが一般的です。サービスによって料金は異なりますが、相場は1ユーザー・回線あたり1,000円から3,000円ほどです。
通話料金は、通話時間の分だけ発生する費用です。着信の場合は発生しませんが、発信やフリーダイヤルによる入電の場合は料金が発生し、相場は3分あたり8円ほどになります。
ここからは、おすすめのクラウドPBXサービスを紹介します。
ここからは、クラウドPBXの活用例を紹介します。
クラウドPBXは、インターネット環境さえあれば場所を問わず使用できます。この特徴を活かし、在宅勤務などのテレワーク環境で活用する事例は少なくありません。
さまざまな場所から会社の電話番号で発着信が可能なため、自宅や海外拠点などから業務に取り組めます。
クラウドPBXは全国各地に拠点がある企業でも活用されており、これにより拠点間の通話を内線化できます。通常の通話と異なり、内線を利用することで通話コストを大幅に削減できる点がメリットです。
ここでは、クラウドPBXに関するよくある質問をまとめています。
クラウドPBXはインターネット環境があれば場所を問わず利用でき、初期費用の削減や柔軟な拡張性、テレワーク対応などメリットが多いシステムです。
しかし、通話品質やセキュリティ、既存の電話番号の引き継ぎなど事前に確認すべきポイントがあり、場合によっては導入が失敗となる可能性も考慮しなければなりません。
なお、自社に最適なクラウドPBXを選定するためには、必要な機能や予算、サポート体制などを総合的に比較して検討しましょう。
導入先の選定にお困りの際は、Ready Crew(レディクル)の利用を検討してみてはいかがでしょうか。Ready Crewはニーズに合った発注先を無料で紹介するビジネスマッチングエージェントで、完全無料で利用できます。
この記事のタグ