改善提案の教科書|進め方・提案書・ネタの探し方(製造業含む)まで一気通貫
2026.01.20
改善提案の目的や意義から、実践の進め方、提案書の作り方、テーマ・ネタの探し方までを網羅。製造・事務・営業など職種別の具体例を交え、現場で成果を出すためのノウハウを紹介。改善活動を定着させる仕組みづくりや成功事例、よくある疑問への回答まで、実践重視でわかりやすくまとめています。
改善提案とは業績向上や働きやすさのために、現場からアイデアを上げる継続的な取り組みと定義できます。製造現場においては、従来の「カイゼン」の考え方(PDCA、5Sなど)と親和性が高く、全員参加型で日々の小さな工夫を積み重ねる文化が肝になります。
また、製造業の現場では生産性をはじめ、安全や品質、コストリードタイムなどが改善対象となりがちです。実務では、「現場のムダを見える化し、手戻りや危険兆候を早期に発見して解消する」という流れになります。
このように、改善提案は単なる「作業をちょっと良くする」ではなく、現場起点で発想して組織の体質を変えるための継続的な仕組みと捉えることが重要です。
なぜ“現場起点”が効くのか
製造現場では上から降りてくる指示・改善だけでは、なかなかムダ・手戻り・危険箇所を完全に拾いきれません。現場の目線だからこそ、日常の作業中に「これはおかしい」と感じるチョコ停やヒヤリ・ハットが見えるのです。また、製造業においては品質・安全に対する要求が高まっており、例えば米国では「欠陥ゼロ」を追求する動きが強まっています。
このような潮流を捉えると、現場が発案・実行・改善まで関与する「提案文化」の育成は、品質や安全を確保しつつ効率を上げるうえで非常に意味があります。提案文化が根付けば社員一人ひとりが「気づき・行動」のサイクルを回し、組織全体の底力を高めることができるのです。
改善提案と“業務改善”の関係
改善提案は現場での小さな気づきから始まるものであり、主に以下が典型となります。
一方、業務改善とは部門横断的な視点から、システム・業務フロー・組織構造を変えるような構造改善を指すことが多く、規模も大きいです。
なお、実務においては以下の重ね方が有効と考えられます。
-
改善提案
-
実験・試行
-
標準化
-
次の改善提案
提案活動が芽を出してきたら、部門横断の業務改善に繋げるという流れが理想です。
① 現状の課題を洗い出す
この段階では、まず現場のムダ(待ち・運搬・在庫・過剰加工など)や不良要因、ヒヤリハットを具体的に拾います。例えば、作業中に「何度も工具を探している」「同じ検査を2度している」「定期的に作業者が動線を交差している」などが候補です。
特に重要なのは「見える化」で、写真や動画を撮る、時間を計測する、データを取ることで、「感覚的におかしい」ではなく「目に見える事実」として課題化します。こうした準備が提案や実行をスムーズにする土台となるのです。
② アイデアを出して選ぶ
課題が洗い出されたら、どのようなアイデア(改善案)が考えられるかを発想して選びます。代表的な発想法は、ECRS(排除・結合・交換・単純化)や5S、なぜなぜ分析などです。
なお、この段階で優先度付けを行うことが重要です。実行難易度(コスト・時間・現場負荷)と効果(人時削減、コスト削減、品質向上など)を比較して、「まずどれから着手すべきか」を決めましょう。その際、実行しやすく効果が見えやすい改善案から始めるのが、現場で確実に動かすコツです。
③ 改善提案書にまとめる
アイデアが決まったら、読み手(現場責任者、部門長、経営層)が「即断できる」ような形で提案書にまとめます。その際、以下をA4一枚サマリーに落とすことが理想です。
-
目的
-
現状
-
提案内容
-
効果試算
-
コスト
-
リスク
-
実施計画
ここで意識すべきは、「読み手が即断できる構成」です。冒頭に「何を改善したら〇〇%短縮できる」「人時が〇時間削減できる」というメッセージを置き、図表・写真を活用して提案の要点が一目でわかるように設計します。なお、設計の際はテンプレートの活用も有効です。
④ 実行と効果検証
提案書が通ったらすぐに全体に適用するのではなく、小さく試してデータで確認することが重要です。改善案をパイロットで実行し、計画通りに効果が出るかを検証しましょう。
効果が確認できたら、標準化・教育・社内展開まで繋げ、仮に効果が出なければ理由を分析して、再試行・別案を探ります。こうした実行と検証のサイクルを繰り返すことで、回る改善が育ちます。
製造・工場(安全・品質・段取り)
製造・工場現場では、以下が改善ネタの典型です。
-
5Sの徹底
-
治具・表示の工夫
-
段取り短縮
-
誤組立のポカミケ防止
-
検査の見逃し削減
具体的には、工具の置き場や使い方の標準化、段取り替え時間の計測・削減、設備の立ち上げ、停止時間を可視化、安全フラグの追加など、現場にある当たり前と思われていたムダを掘り起こす視点が重要です。公開されている、多数の工場改善事例がヒントになります。
事務・オフィス(ペーパレス・二重入力削減)
事務・オフィスの現場でも改善ネタは豊富で、例えば以下が挙げられます。
-
申請・承認フローの簡素化
-
帳票の統合
-
RPA/フォーム化による作業削減
-
ファイル命名・格納ルールの標準化
日々発生している「データ探し」「二重入力」「転記ミス」「承認待ち時間」などを観察すると、自社特有の改善対象を見つけやすくなります。提案する際は「現場の声を可視化」して、関係者全員が理解できる形にすることがポイントです。
営業・サービス(リードタイム短縮・再来率向上)
営業・サービス部門では、主に以下がネタとなります。
-
見積・契約の標準テンプレ化
-
FAQのナレッジ化
-
初回接点の導線最適化
-
顧客の声の可視化と改善サイクル化
例えば、「見積依頼から返信までの平均時間を〇時間から〇時間に短縮」、「顧客からの問い合わせの〇%がFAQで対応可能に」など、数値で効果を見せやすいテーマを起点にすると提案が通りやすくなります。
アウトライン(見出しサンプル)
提案書の基本的なアウトラインとしては、以下の見出し構成が有効です。
-
表題
-
背景と課題
-
提案内容(To-Be)
-
期待効果(QCD・安全・人時)
-
コスト・リスク
-
実施工程
-
責任者・期日
-
評価方法
この構成を整えることで、読み手が「何を、なぜ、どうやって、いつ、誰が」を一目で把握できるようになります。
数字の置き方
提案書において、数値による裏づけの有無は説得力を左右します。 「秒 × 回数 × 人数」の積で効果を粗く見積もる手法や、欠品率・不良率など既存KPIに紐づける手法が有効です。例えば、「工具探しに10秒/回×50回/日×20人=約167時間/年削減可能」といった形が挙げられます。
また、自社データ・観測記録・ベンチマーク先の資料などの根拠となる出典を残すことで、読み手の信頼を獲得できます。
回る仕掛け
活動を回すための仕掛け構築が必要で、以下が典型として挙げられます。
-
月次の共有会や提案ボード
-
社内ポータルでの可視化
-
部門横断レビュー
-
標準書の更新
-
評価との接続
また、提案数・実行率・効果額などをKPI化し、表彰制度やインセンティブと結びつけることで社員の参加意欲を高められます。
守る仕掛け
改善提案制度は自由度が高い反面、品質・安全・標準から逸脱するリスクもあります。例えば、安全・品質に関わる変更は変更管理を必須とする、効果検証前の拡大適用はしないといった、「守るルール」をあらかじめ設計しておくことが重要です。
こうしたガバナンスを設けることで、提案活動がやりっぱなしにならず、組織として安心して取り組める体制を築けます。
ここでは、製造業ならではの改善提案ネタの掘り方をより深く紹介します。
製造現場での改善ネタは、既に公開されている改善事例集(安全・品質・段取り・設備保全)から、自工程に翻訳するクセをつけることがポイントです。 また、他社・他工程の現場見学・ベンチマークを活用する際の「見るべきポイント」も心得ておくと、自社課題に紐付けやすくなります。
標準作業×見える化
標準作業票の整備やタクトタイム、作業動作の見える化は製造業改善の基本です。例えば、「作業者Aがある動作に5秒余分に使っている」「検査工程で〇秒/回のムダがある」と可視化できれば、改善案が生まれやすくなります。
さらに、異常時対応を即時化する仕組みであるアンドン表示や即時呼び出し、さらには記録や振り返りなどを導入することで、品質やリードタイムに対するインパクトが出やすくなります。
ポカヨケ×段取り
誤組立・誤品投入を防止するポカヨケの手法(非対称化・ガイドピン・色分けなど)や、段取り替えを内作業化・並列化してリードタイムを削減する手法は、製造業現場では強力な改善ネタとなります。
これらを「自社の工程にどう落とし込むか」を考えるクセをつけることで、自らネタを発見・提案できる現場に移行できます。
株式会社シンクジャム
株式会社シンクジャムは業務改善やDX推進に関するコンサルティングを提供している企業です。現場の課題を可視化し、改善提案を組織文化として定着させる支援を行っています。業務プロセスの再設計やデータ活用を通じて、生産性の向上を図る取り組みが特徴です。
|
会社名
|
株式会社シンクジャム
|
|
サービス名
|
業務改善・DX推進コンサルティング
|
|
費用
|
要問い合わせ
|
|
おすすめポイント
|
業務課題の可視化から改善提案の定着までを一貫支援
|

株式会社カグラ
株式会社カグラは製造業や物流業を中心に業務フローの最適化を支援する企業で、現場の業務課題をヒアリングして改善提案をもとに効率的なプロセスを構築します。特に、業務の標準化や手順の明確化が強みで、現場レベルの改善を実現する実践的なサポートを行っています。
|
会社名
|
株式会社カグラ
|
|
サービス名
|
業務フロー設計・改善サポート
|
|
費用
|
要問い合わせ
|
|
おすすめポイント
|
製造・物流領域での改善実績が豊富
|

株式会社アイウェイヴ
株式会社アイウェイヴは業務改善を目的としたアプリケーション開発、システム導入支援を行う企業です。現場の声を反映したシステム構築を得意としており、属人化した作業や紙ベースの業務をデジタル化することで効率化を推進します。また、改善提案をDX化する支援に注力している点も特徴です。
|
会社名
|
株式会社アイウェイヴ
|
|
サービス名
|
業務効率化アプリ開発・導入支援
|
|
費用
|
要問い合わせ
|
|
おすすめポイント
|
現場の改善提案をDX化する仕組みづくりに強み
|

株式会社evolt
株式会社evoltは企業の業務改善をはじめ、システム導入を総合的に支援しています。課題の洗い出しから施策実行までを一貫して行い、現場が自律的に改善できる仕組みづくりを支援する点が特徴です。属人化の解消や業務効率化をテーマに、多様な業種で成果を上げています。
|
会社名
|
株式会社evolt
|
|
サービス名
|
業務改善・システム導入コンサルティング
|
|
費用
|
要問い合わせ
|
|
おすすめポイント
|
業務の属人化を解消し、生産性を高める改善支援に注力
|

Yot合同会社
Yot合同会社はチームや組織の改善活動を支援するコンサルティング企業です。小規模組織やスタートアップの現場に寄り添い、コミュニケーション改善や業務フローの見直しを提案します。組織が継続的に改善提案を行えるよう、環境づくりを重視している点も特徴です。
|
会社名
|
Yot合同会社
|
|
サービス名
|
組織改善・チームビルディング支援
|
|
費用
|
要問い合わせ
|
|
おすすめポイント
|
小規模組織の改善提案活動を継続的に支える柔軟なサポート
|

ここでは、改善提案に関してよく寄せられる質問と、それぞれの回答を記載します。
改善提案はどう書けば伝わる?
改善提案書では、以下の順に構成すると伝わりやすくなります。
- 背景
- 課題
- 提案
- 効果
- 実施計画
図や写真を活用しながら効果を「秒×回数×人数」で概算し、既存KPI(不良率・人時・リードタイム等)に紐づけて分かりやすくしましょう。
改善の「8原則」って?
改善の「8原則」とは、ムダ排除・標準化・見える化・流れ化など、TPSやリーン生産方式に基づく普遍的視点を整理したものです。公式規格ではなく、自社に合わせて解釈・適用することが肝要です。
「改善案」の言い換えは?
改善案の言い換えとしては、主に以下が挙げられます。
なお、これらは
文脈(提案文書・実行指令・報告書など)によって使い分けると自然です。
改善の例文が欲しい
例文としては、「〇〇工程で待ち時間が10分/回発生、治具追加で作業を7秒短縮予定、月A時間削減想定、初期費用50万円、回収見込み6ヶ月」といった形で、数値・期間・投資・回収を明記すると分かりやすくなります。
改善報告書の書き出しは?
報告書の冒頭には「現状と課題」を事実ベースで示し、次に「KPIへの効きどころ(不良率・リードタイム・人時など)」を一文で入れましょう。その後に、事実・影響・提案の順で文章を構成すると読み手に伝わりやすいです。
改善提案とは現場が回す継続の仕組みで、まずは課題の見える化を行い、次に小さく試して数字で確かめ、うまくいけば標準化に繋げるという、王道のサイクルを回すことが何より重要です。製造・事務・営業それぞれの現場に応じたネタ出しの視点を持ち、提案書は一枚で即断できるレベルを目指しましょう。
また、制度側としては提案活動を促進しつつ、ガバナンスを守るための見える化や表彰、変更管理などの制度設計が鍵となります。最後に、改善提案活動を通じて「気づく力」「動ける仕組み」「継続できる文化」を育てていきましょう。
Ready Crew – 発注側向け商談獲得サービス
Ready Crewでは改善提案の制度設計をはじめ、現場のデジタル化や教育・運用まで、ニーズに沿ったパートナー企業を無料で紹介します。知識・経験豊富なコンシェルジュが希望をしっかりとヒアリングしたうえで複数社をピックアップするため、比較・検討が可能です。成約の押し付けもなく、安心してご相談いただけます。まずは、お気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちら(無料)